産科診療所から 15  <診療所で働く人たち・・・清掃や洗濯など>

産科診療所で働くスタッフで、この方たちがいなければなりたたないと思う仕事が清掃や洗濯など院内の環境を守ってくださっている方たちです。


クリニックの近くに住んでいる方たちが、スタッフ募集を見て働いてくださるようになりました。
クリニックで出産された方もいらっしゃいます。


クリニック内の清掃をするだけでも、かなりの時間がかかります。
でも毎日、ほこりも落ちていないかのようにていねいに掃除が行き届いていることも、来院されるかたから評判のようです。


特に産科は、授乳中だったり分娩直後で休んでいたり、「掃除はあとにして欲しい」と思われるであろう状況があります。
今、働いてくださっている方たちは、こちらがそういうことを伝えなくても、そっと順番を変えたり、静かにそっと清掃だけして退室していきます。


数年前にご自身が出産しているのですから、新生児を見れば入院中のお母さんたちに話しかけたくなることもあるでしょう。
でもいつも静かに清掃に徹してくださっている姿に、「プロ」という言葉が浮かんできます。


また退院や部屋移動のたびにすぐにかけつけて清掃をし、すぐに使えるようにしてくださっています。状況をよく見てくださっていることに、あうんの呼吸で一緒に働いている充実感を感じる方々です。


大きな病院と違って、タオルなどは外部業者に委託せずにクリニック内で洗濯しています。


分娩があると、山のような洗濯物がでます。
血液のついたものは丁寧に落として消毒し、何度も洗濯機を回して、またパシッと折り目正しいタオルになって元の位置に戻っています。


これだけの掃除や洗濯を丁寧にしたら、私なら1週間ぐらいはもう家ではしたくないと思うほどの量です。
本当に頭がさがります。


そして医療機関というのは、本当にゴミが大量に出ます。
とりわけ医療廃棄物との分別と処理が大事で、血液や体液のついた感染性廃棄物とそれ以外のゴミにわけてきちんと業者に引き渡す必要があります。


分娩があると、これまた山のようなゴミがでます。
血液や排泄物で汚染されたゴミが入った袋を業者に引き渡しやすいように片付ける。
普通の生活では触れることもないような物です。
最初は、おそらく戸惑われたのではないかと思います。


こうした産科診療所で働く清掃や洗濯を担当してくれるスタッフは、特別、研修があるわけでもありません。
本当なら医療機関の特殊性にあわせた研修のようなものがあるとよいと思います。


医療機関での清掃や洗濯は決して誰にでもできることではなく、安全性や患者さんへの対応など、やはりそこにはプロとして熟練していく段階や経験があるのではないかと思います。
それがまだ一般化されていないのは残念です。


クリニックで働いた経験を、次の就職活動でも胸を張って経歴に書いてもらえるはずだと思っています。





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