2014年に初めてとかえこさんからコメントをいただいた時には、私は産科診療所で勤務するようになって10年ほどたった頃でした。
周産期医療の集約化が進んで、それまで分娩を取り扱う「近くの総合病院」が激減し、周産期センターか診療所か、そして近い将来にはすべての分娩は周産期センターで日帰り入院で受けて、診療所は妊婦健診だけになるかと思うような勢いで変化していたように感じました。
最近、近隣では、総合病院でも分娩再開する施設や新たに開業する産科診療所もぼちぼちあって、一次施設から三次施設までうまく地域の分娩を担っている方向性のような印象です。まだまだ綱渡状態なのだとは思いますが。
出産後24時間、帝王切開でも48時間で退院するような早期退院推進の雰囲気にブレーキがかかったのかなと、ちょっと安堵しています。
まあ、また医療費は孫の世代への借金という雰囲気が少しでも強まれば、どうなることやらですが。
*最近の若い世代の方々*
前置きが長くなりましたが、2014年ごろ、私が勤務していた産科診療所では、「卒後数年」ぐらいのスタッフはほとんどいませんでした。
最近では、卒後数年どころか「卒後2〜3年」で産科診療所勤務を希望する人が増えてきた印象です。
私の感覚では、病院で異常分娩など経験を積んでから産科診療所へなのですが、時代が変化していることを感じることのひとつです。
集約化によって、次々と新卒が入る周産期センターには長くいられないという事情でしょうか。
久しぶりに「卒後数年」という世代の方々と接して、助産師だけで!という雰囲気で教育を受けたことをあまり感じることがありません。
これは意外でした。
1980年代から90年代の「卒後数年」を思い返すとなんだかもっと自信に満ちていたので、最初は自信がないのか、大丈夫かと思いました。
粛々と分娩介助して不安があれば医師に相談するし、「これがいいらしいです」と鵜呑みにしてすぐにケアに取り入れたりしない。
なんとかベルトも、なんとか式マッサージとかさまざまな民間資格も耳にしなくなってきました。
私の周辺だけかもしれませんが。
かつて粛々と臨床経験を積んでいる人たちのことを公の場で腰砕けと貶め、「助産師だけですべての責任を負う」ことを目標にしている声が強い世界や、それに伴って民間資格を取ることが勉強熱心のように思われた時代があったことが嘘のようです。
お産は終わってみないと正常かどうかわからない、出産は母子二人の救命救急にいつでもなりうるという分娩(出産)の本質に立ち返るまで30年かかったのだと、あの反動に揺れた時代を思い返しています。
「反動から中庸へ」まとめはこちら。