思い込みと妄想  9  <NHKの番組はどうやって作られるのだろう>

先日、NHKの11時台に放送している「ひるまえほっと」という番組を観ていたら、「ベジブロス」という野菜でとったダシを使った料理を紹介していました。


ふだんは捨ててしまう野菜のくずなどを煮込んでだしをとるというものです。
玉ねぎの皮とかしいたけのヘタとか、あるいはかぼちゃの種などを水に入れて30分くらい煮込んでダシをとるらしいです。
いやあ、めんどくさいしガス代がかかる割にはおいしくなさそうと思いながら観ていましたが、そのベジブロスを使った料理の炊き込み御飯とスープの材料が野菜だけなのをみて、ピンときました。


マクロビ系に違いない!と。


ベジブロスを検索すると、「魔法のだし」として昨年もNHKの別の番組で放送していたようです。


<科学を装った説明だけれど・・・>


そのサイトにはこんな説明がされています。

健康効果も注目を集めていて、免疫力を向上させる効果や、アンチエイジングも期待できるといわれています。

そしてそれを給食に取り入れた保育園を「風邪などの欠席が減った! ベジブロスの抗酸化パワー」として紹介しています。


「免疫力」「アンチエイジング」「抗酸化パワー」といった言葉で、すでに私の中では赤信号。
医学っぽい説明にさらに科学っぽい説明が書かれています。

たとえばニンジンの皮には、うまみ成分の「グルタミン酸」が皮の部分の1.5倍含まれていて、長ネギの青い部分は「アリシン」という香り成分を含んでいます。さらにベジブロスの煮込むという行程にも、おいしさの秘密があります。野菜は細胞の中にうまみ成分を含んでいますが、細胞壁という堅い壁で覆われているためスープに溶け出しません。煮て熱を加えることで細胞の壁が壊れてうまみ成分のポリフェノールなどの有効成分がスープに溶けだしてくるのです。

それって、普通にちょっと多めの野菜をいれたスープにすれば良いってことでは?
でもやっぱり野菜だけでは味が物足りないですよね。


その番組の「問い合わせ先  『ベジブロスを使っているレストランについて』」に紹介されている「たまな食堂」をみると、「2010年マクロビオティックカフェとして南青山の裏路地に開店」したお店のようです。


ピンポンでした。マクロビオティック助産師を通して出産・育児にまで入り込んで来たことについては「助産師と自然療法そして『お手当』」から連続でしばらく書きましたが、私のあちゃーな経験に書いたように、その時代の病気などへの不安を取り込んで「効果がある」ことを前面に出しながら生き延びて来たとも言えるでしょう。


<ちょっとおしゃれで進歩的な雰囲気に弱い>


今日はマクロビオティックの批判というよりは、NHKの番組についての心配です。


NHKの番組にも気に入ったものがあって、「サラメシ」「鶴瓶の家族に乾杯」そして「妄想ニホン料理」は録画をして観ています。
妄想ニホン料理」は復活してうれしいですね。内容は「妄想」ではなく、発想の刺激になるものだと思います。


それ以外のドラマは観ていないのですが、テレビをつけた時に「出産シーン」になぜか偶然あたるのです。「引き寄せの法則」とかいっちゃうとまたあっちの世界ですけれど。


昭和40年代ぐらいの時代設定なのに、「お産はね、畳の上で自由に動き回ってすればよいのよ」とあえて台詞で言わせたり。
あるいは陣痛が始まった産婦さんが途中で悪天候で病院に行けずに立ち寄った家が、軽い認知症になった元助産師という設定で、「病院に行かないでここで産みなさい」とか。


あーあ。あの界隈の影響が強いのだろうなと感じました。


きっとベジブロスの番組も、南青山のちょっとおしゃれな玄米菜食のお店に行ったスタッフの誰かが「ちょっとおしゃれ」「ちょっと進歩的」と取り込んだのではないかと想像しています。


助産関係の雑誌の編集もそうなのですが、自分たちは洗練された思考であり、日本のマスメデイアの最先端にいるという自負が、きっと何かを見えなくさせるような思い込みを生み出しているのではないかと心配しています。




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