思い込みと妄想 44 気分で変化する社会に合わせて呼び名も変化する

録画しておいた「マツコの知らない世界」に、おはぎの話題がありました。

いろいろなおはぎがあるのだなあという点と、こんなにたくさんおはぎを食べる人がいるなんてシュールな世界があるものだと思いました。まあ、「知らない世界」の番組ですからね。

 

その中で「寝かせ玄米を使ったおはぎ」を聞き逃しませんでした。

数年前まで酵素玄米と呼ばれていたあれだろうとピンときて、検索したらやはりそうでした。

そう、10年前に助産の専門誌で堂々と玄米菜食が掲載されたあと、一時期もう下火になったと思ったら、数年後にごくごく普通の医療機関に勤めるスタッフの口から久しぶりにその名を聞きました。

さすがに最近はもうなくなったのだろうと思っていたら、まだ専用の炊飯器とか需要があるようです。

 

10数年前に初めてそれを耳にしたのは、助産所で「なんだかわからない玄米を炊くための特別な釜を買わされた」とか玄米を食べていたら(会陰は)切れないらしいという話でした。

そんなことを勧める助産師がいるなんてと悶々としていたら、とうとう助産雑誌にまで掲載されたのでした。

 

で、doramaoさんが酵素玄米について整理してくださったのが上記の「助産の専門誌で堂々と玄米菜食が掲載されていた」です。

その記事の「おまけ」にこう書かれています。

気がついた人もいるかもしれませんが、『ある日の昼食』は塩分がなぜか高いんですよね。実は、酵素玄米だからなんです。

酵素玄米というのはおそらく、長岡式酵素玄米のことでしょう。簡単に説明すると、玄米に小豆と塩を加えて、高圧で炊きあげた物を、たまにかき混ぜながら3日ぐらい保温状態で熟成させるものです。結構な量の塩がポイントのようなので、栄養価計算も反映させました。おやつにおにぎりだとさらに食塩アップダヨなあ。

 

塩分取りすぎと、どこまでを「熟成」でどこまでを「腐敗」なのか注意して食べる分には個人の好みの範疇で良いと思います。

 

問題は当時、 「腐らない不思議な食べ物(万能感)」と「かき混ぜ方にも方法がある(権威)」とともに「こんなことが効果がある(妄想)」と広がったことでした。

この酵素玄米というのは実はかなりのトンデモで、なぜだか塩を入れて高圧で炊くことにより、有機ゲルマニウムが発生してしまうという代物です。どなたかネタにしませんか? 

 

ああ、そうだ有機ゲルマニウムの話もありましたね。あの原子力発電所事故以来、パタリと耳にしなくなった気がしましたが。

そして大人ならまだしも、こうすれば良い子に育つと特殊な食事療法がじわりと広がりました。誤った知識を広げた責任というのはうやむやになりやすいものです。

 

それが、最近は「寝かせ玄米」なのですね。

「熟成」とか「寝かせる」とか、「なんだかいいもの」の気分がこのところ社会に広がりましたからね。

 

番組ではもうひとつの雑穀のお店のおはぎを紹介していました。

検索するとそのお店は、「当店の料理は『マクロビロテイック』ではなく」とあえて書かれていました。

 まあいろいろ、社会というのはシュールですね。

 

 

マツコの知らない世界」は夜中に放送していた頃のほうが、そのシュール感が伝わったかもしれませんね。

「寝かせ玄米」から別の世界に引き込まれる人が少ないと良いのですが。

 

 

「思い込みと妄想」まとめはこちら

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