数字のあれこれ 36 <食塩相当量>

家系的に血圧が上がりやすいことを30代の頃に自覚したので、その頃から減塩を心がけるようにしていました。
今から30年ぐらい前だと、まだ気をつけるといっても調味料の中の塩分量を覚えて、計量スプーンを使うぐらいで、「これくらいのしょっぱさならだいたい塩分何グラムぐらい」の適当なものでした。


減塩の料理本はあったのですが家で調理することを前提にしているので、購入したお惣菜や外食がどれくらいの塩分なのかの参考になるものはほとんどなかった印象です。
その後、市販の食品や調味料の塩分量が写真付きでわかりやすく説明された本も増え始めて、おおよその塩分量がわかるようになり助かりました。


最近では、お惣菜からお弁当類、あるいは外食のメニューにも1食あたりの塩分量が記入されているので、本当に助かります。
いつごろからだったのだろうと思い返してみたのですが、たしか2011年か2012年ごろはまだ大手の寿司屋さんの商品には塩分量の記載がなく、母へのお土産に買うのに「これからは高齢者のためにもわかりやすい塩分量が書かれているといいですけれど」とお店の方に提案した記憶があります。


数年前は、まだ「塩分含有量がわかると、減塩志向で買い控えするのではないか」というメーカー側の不安もあったかもしれませんね。


じきにその会社も、すべての商品に塩分量を記載してくれるようになり、むしろ安心して購入することができるようになりました。
「ちょっとした贅沢だから、今日だけは少し塩分量が多くても良いことにしよう」「○gだから、他の料理を減らして調整しよう」と、対応しやすくなりました。


<ナトリウム量と食塩相当量の表示>


ただ、今もまだ多くの食品の表示がナトリウム量です。
食塩相当量よりはすべてのナトリウムを換算した表示のほうが正確だろうとは思うのですが、生活上ではちょっと不便ですね。


ナトリウム量に2.54をかければ良いというのは30年前から理解しているのですが、食塩相当量のほうが1日量をイメージしやすいのにナトリウム量からその都度計算し直さなければならないのはけっこう面倒です。
いえ、数字が苦手な私でも2.54倍ぐらいはだいたい計算できるのですが、そのつど計算しなおす必要がある数字というのは生活する人の視点ではないなというあたりです。


また、先日はお店側のほうがナトリウムと塩分量を間違えて記載しているのではないかと思う商品がありました。
小さなひとり分のお惣菜に「ナトリウム2.9グラム」とあります。
食塩相当量にしたら7.36gになってしまいます。よほどしょっぱい漬物などでなければあり得ない数値ですね。


ナトリウム量と食塩相当量のどちらの表示が一般的なのだろうと思い検索してみたら、一般財団法人食品分析開発センターSUNATECのHPに「食品相当量について」という説明がありました。


それを読むと2015年に施行された「食品表示法」では、「原則として、ナトリウムは食品相当量として記載されることとなった」と書かれていました。


そして、消費者庁の調査では「食塩相当量の意味を理解していた消費者は、全体の50.3%であったにも関わらず、ナトリウムの表示から食塩相当量を正しく算出できたのは、わずか3.9%であった」とあり、そうだろうなと納得です。


先日、散歩のあとにふらりと立寄った小さなお店でも、メニュー全ての塩分量が記載されていました。
「もう一品頼もうかな」という時にも、とても便利ですね。


30年前に比べると、ややこしい計算をしなくてもほとんどの食品や料理の食塩相当量を知ることができるようになって、本当に助かりますね。
今、思い返すと子どもの頃は一日15gぐらいは塩分を摂っていたのではないかと、ちょっとぞっとしています。
しょっぱい少しのおかずでたくさんのご飯を食べるという食生活の時代でしたから。




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