散歩をする 78 <寺社のない場所>

30度だと涼しく感じるくらい、感覚が麻痺しそうな今年の暑さです。
ふらりと散歩をする気力も湧かないと、地図で仮想散歩を楽しむことにしています。


このところ鎮守の森に涼を求めたこともあって、地図では寺社に目が行きます。
ふと、あることに気づきました。
寺社がまったくない地域があることに。


葛西臨海公園の周辺もそうですし、夢の島辰巳のあたりには全く寺社がありません。
1970年代から80年代に埋め立てが終了した新しい地域です。
考えてみれば、まあ当然といえば当然なのかもしれません。


地図を拡大させながらたどっていくと、ようやく月島に住吉神社と佃波除稲荷神社がありました。
住吉神社は1646年に創建されたようです。


運河と埋立地が続くこの辺りですが、門前仲町あたりは江戸時代から栄えていた街で、寺社が多いイメージがあり、実際に現在でも地図にたくさんの寺社を見つけることができます。
その隣の東京海洋大学がある「越中島」というと月島と並んで古い街だと思っていたのですが、そこにも寺社はなさそうだったのが意外でした。


何度も見落としていないか、地図を行ったり来たりして見たのですが、現在の東西線が通っているあたりを境に、南側には寺社を見つけることができませんでした。


葛西のあたりも、新左近川以南には寺社がなさそうで、その少し北側に、八雲神社がありました。
「1688年に水神を祀り」とあるので、古い神社であるとともに、江戸時の水運と関係があったのかもしれません。


東京湾の埋め立て>


なんとなく、戦後に埋め立てられた地域には神社やお寺が造られなかったのではないかという法則性が見えてきたのですが、実際のところはどうなのでしょうか。


東京冷蔵倉庫協会の東京湾の埋立と開発の歴史についてという資料が公開されていました。


東京湾埋立の歴史」を読むと、豊洲や晴海あたりは戦前にすでに埋め立てられていたようですから、「戦後」とは関係がなさそうです。
むしろ、神社合祀との関連でしょうか。


ちょっとした思いつきだったのですが、きっと、いつか資料館や本で探していた答えに近づけるだろうと楽しみになってきました。
すでにたくさんの専門的な知識が積み重ねられていることでしょうから。


あのTOKYOミナトリエにも、東京湾の埋め立ての変化がわかる写真が展示されていましたが、いろいろな視点からその歴史が具体的に見えてきそうです。


ということで、今年の夏の自由研究でした。



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