水の神様を訪ねる 63 日本最初の水道、小田原用水の護り神

山口県から小倉までの遠出から戻って1週間後、小倉城の水はどこから来たのか確認できなかったことが心残りだったのか、そうだ日帰りで行ける小田原城に久しぶりに行ってみようと思い立ちました。

 

小田原城は高校生の頃以来、何度かその近くを歩いたことがあり、おそらく地図を見なくても歩けるぐらいなじみのあるお城です。

ところが今回は、「小田原城の水はどこから来たのか」ということが気になって地図を見ていたら、お城から西へ2kmほどの早川から水路が小田原市内に伸びているのが見えました。

ここが取水口に違いないとワクワク探していたら、小田原用水で「日本最初の水道」であることがわかりました。

 

地図からここまで読めるようになったと悦に入っていたら、なんと2016年1月にすでにブラタモリで放送していたようです。観ていたはずなのになんで記憶に残っていないのかショックでしたが、おそらくその頃は水には関心があるものの「城」となると自分の興味のスイッチが入らなかったのだと思います。

関心があるかどうかで、見えてくるものがこれだけ違うのですね。

日常でどれだけのことを見ないまま来ていることでしょうか。

 

小田原城跡と小田原用水*

 

お昼近くに小田急快速急行に乗って小田原駅につきました。4月下旬ですが初夏のように日差しが強い日でした。

 

いつもなら小田原城の前にあるお堀端通りを真っ直ぐに海の方へと歩くのですが、今回は1本東側の道を初めて歩いてみました。

途中で東から来た国道1号線が直角に曲がる場所があり、国道沿いに歩くとほんの200メートルほどでまた国道1号線が西へと直角に曲る場所がありました。

知っていたつもりの小田原の道にこんな場所があるなんて、初めて気づきました。

その角に、今も小田原用水の水路の一部が残されている小田原宿なりわい交流館があります。

そこに立ち寄ってみました。

このあたりが昔の東海道の、箱根八里を越えるための旅籠が集まっていた場所である説明板がありました。

 

幅50センチにも満たない石造りの水路ですが、水が滔滔と流れています。

これからこの取水口を見に行きます。

 

いつも海を見に行く道とは違う道に入ると静かな住宅街で、「西海子小路」と表示がありました。その道が行き止りから南へ少し下ったところに、今も残る小田原用水の水路があるようです。

住宅の間に小さな水路があり、きれいな水が流れています。

それを辿って西へといくと、住宅街の中に公園のように広々とした場所があり「総構 早川口遺構」の案内板がありました。

 早川口は、「二重外張(ふたえとばり)」と呼ばれる、土塁と堀を二重にして防御を固めた場所で、小田原城北條氏時代には小田原城総構(そうがまえ)の虎口(ごぐち、お城の入り口)であったと考えられています。

 江戸時代には東海道に沿った上方口(板橋口)に虎口が移ったため、この場所には戦国時代の遺構が良好に残りました。

 明治時代遺構に別荘地などとして使われたため、地形が改変されている部分がありますが、現在、低地部で見ることのできる数少ない戦国時代小田原城の土塁のひとつです。

 発掘調査により、土塁の断面を確認したところ、人頭大から一抱えもある玉石を2m以上にわたって積み上げて築かれていることがわかりました。

 

最初に地図で水路をたどっていた時に、なぜ今の小田原城から離れた南側の方へと水路が残っているのだろうと不思議だったのですが、このあたりまで小田原城だったのですね。

 

そこから一旦、北側へ少し歩き、東海道本線の下をくぐると国道1号線の南側にある大久寺(だいきゅうじ)の敷地内に一部水路が残っています。天正19年(1590)に建てられた大久保家の菩提寺とありました。

 

 

*居神(いがみ)神社*

 

大久寺の反対側に、居神神社があります。

ちょうど小田原用水が曲がる角にある神社ですから、おそらく水に関係しているだろうと思い、立ち寄ってみました。

 

見上げるような石段が続いています。

東海道新幹線小田原駅を出ると何度もトンネルを通過するのですが、そのトンネル口のそばにあります。

 

三浦義意公を祀り永正十七年(1520)に創建されたとのことで、その中に水神社もありました。

境内社 水神社

小田原早川用水、小田原用水 護り神

 

境内の一番上だったら参拝を諦めようと思いましたが、石段の手前に水神社がありました。

小さな木製の祠で、板に墨で書かれた説明板に「この地に湧き出た清らかな水を祀った神 小田原上水 日本最古の上水道の護り神」「家内安全 健康増進」とありました。

 

 

山から湧き出る水もあったのかもしれませんね。

 

 

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