散歩をする 403 利根川左岸の堤防の上を歩く

城沼と館林城の土塁を歩いたあと、城内に建てられた館林市役所の前のバス停に行きました。

ここから11時に出るコミュニティバス利根大堰の近くまで行くようです。これを逃すと次は3時間後で1日目の計画が全く変わってしまうので、あらかじめバス停で時刻を確認しておきました。コミュニティバスはネットで検索した情報と現地での実際の運行とが違うことがあるので、慎重に確認する必要があることを今までの失敗から学びましたからね。

 

「館林・明和・千代田線」に乗り県道7号線に入ると、平日の11時台だというのに渋滞しています。国道354号線との交差点からは渋滞がなくなり、茂林寺沼の東側を抜けると下り坂になりバスは水田地帯へと入りました。谷田川を越え、利根川左岸の水田地帯がずっと続いています。皇帝ダリアがあちこちに植えられていました。

おしゃれな明和町役場の建物をすぎて東武川俣駅を通過するときに、嵩上げされた立派な蔵があるのが見えました。

高い土手が近づいてきました。利根川の堤防で、そのすぐそばまで水田が広がっています。

途中、川俣事件衝突の地の標識が見えました。

 

バスはここからしばらく土手沿いの道を走りました。

どこまでもどこまでも広々とした水田地帯の風景で、土手の緑色と真っ黄色の銀杏が12月初旬の真っ青な空に映えて息を呑むような美しさでした。

11時40分、富永郵便局前バス停で下車しました。

 

利根大堰の上を通る県道20号は交通量が多く、近くまで行きたかったのですがとても歩行者が歩くような道ではなさそうでしたから、集落の中を歩いて堰よりも300mほど上流へと迂回することにしました。

土手へと上る道を歩きながら、どんな風景が見えるだろうとワクワクしました。

 

悠々と流れる真っ青な利根川と真っ青な空、そして西には富士山がはっきりと見え、振り返ると日光の山々や赤城山が雪を抱いて見えました。360度、美しい風景が一望できます。

そしてなんと堤防の上に木のベンチがあり、紅葉した楓が1本そばに植えられていました。

なんと粋な計らいでしょうか。

12時ちょうど、そこに座ってしばらく利根大堰利根川を眺めました。

 

近くの標識の上に鳥の模型かと思ったら、本当のトンビがじっと止まっていました。

あぶないあぶない、ちょっとお腹が空いたのでこの美しい風景を見ながらおにぎりを食べようと思ったのですがやめました。

 

利根川左岸の堤防の上を歩く*

 

ここからしばらく堤防の上を歩き、15時ごろには千代田町役場のバス停に行く予定です。15時15分の大田駅行きのコミュニティバスを逃すと、公共交通機関のほとんどないこの広大な水田地帯から最寄りの駅まで数時間ぐらい歩くことになりますから、少し先を急ぎました。

 

まっすぐな堤防の上の道ですが、左に利根川の流れ、右手に千代田町の水田や家々と遠くの山の風景を見ているとあきることがない道でした。

午後になって少し川風が出てきましたが、日差しが強いので歩くにはちょうど良い感じです。

途中、「千代田サイクリングロード」の図がありました。先ほどの粋なベンチや東屋やトイレが堤防の上に整備されているようです。

 

「河口から154.5km」、16世紀終わり頃からこんなに広範囲に複雑に流れる長大な川を付け替えてきた歴史に圧倒されますね。

 

牛の匂いがほんのりと風に漂ってきました。小さな牛舎があるようです。耳元の風の音しか聞こえない静寂の中を2kmほど堤防の上を歩きましたが、サイクリングの人ひとりとすれ違っただけです。

のどかで美しい風景を独り占めしました。

 

 

*利根加用水沿いに千代田町役場へ*

 

城沼で購入した本が重く感じるようになったので、しばらく休憩所で一休みしてから堤防を下りました。地図で見つけた利根加用水の取水堰があり、その用水路沿いに長良神社があります。

水仙が咲く参道を歩くと、御由緒が書かれた石碑がありました。用水と関係があるだろうと思ったのですが予想が外れました。

 

利根加用水沿いに水田地帯を歩くと、道路が一段高くなり集落へと入りました。ここからは用水路が遊歩道になっていました。

 

右手に低く広がる水田地帯を眺めながらのんびりと道なりに歩いていると、「土地改良事業概要」が書かれた大きな石碑がありました。

従来米麦作に依存せる農業と農業事情変化により農業構造改善対策を樹立し時代の推運と近代化農業により農法の改革を迫られる時 村当局の勧めにより同志相計りその対策として土地基盤の整備を行い生産性を拡大するとともに近代化農業経営にふさわしい土地改良を計画 関係者一同の賛成を得と近い力を設立 関係機関の協力を受け優秀なる設計のもと一意工事を進め4年の歳月と一億1500万円の投資により竣工を見たのである 特に道路と用水路の整備により大型農業機械の導入による農作業の適正化と省力生産化を向上 灌漑排水の調整自由にして便ならしめたることは郷土のため成功を修めたり よって衆議一決碑を建立して本事業を永く記念せんとす

昭和45年起工、48年竣工

 

私が小学生の頃はこういう時代だったのかと、現在の整然とした堤防や水路そして水田の風景から時代を遡って記憶が少しつながりました。

 

この辺りで17600歩、足も疲れたので途中で休みながらでしたが予定よりも早く千代田役場に到着しました。

静かでヒヨドリの声だけ聞こえるバス停で待つことにしました。

 

ここから15時15分のバスで大田駅に向かい、そこから熊谷行きのバスに乗り換えました。利根川を渡る頃には日が沈み、まん丸の月が出始めました。

 

利根大堰の左岸側を歩くことができて大満足の1日が終わりました。明日は利根川の右岸を歩きます。

 

 

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