散歩をする 485 西吉前新田から神野新田町を歩ききる、つもりだった

西吉前新田の水神社を訪ねることができ、ここからいよいよラストスパートで神野新田町(じんのしんでんちょう)、そして牟呂用水の流れる牟呂市場町まで歩く予定です。

 

広大な干拓地ですが斜めに歩けば5kmぐらい、きっと1時間半ぐらいで目的地まで歩けるだろうと踏んでいました。

ここからは途中でバス停もありませんから、歩くしかありません。

 

西吉前新田の水路よりも南側に広がる水田地帯は、「モノ割」「ヒノ割」「セノ割」といった干拓地らしい地名ですが、この辺りも豊橋市神野新田町のようです。

白っぽい土の整然と耕された畑の中のところどころ通る小さな水路の橋を渡ると、ふと祖父母の家のそばを歩いているような錯覚に陥りました。

 

ブロッコリーの苗が、美しい緑です。

日差しが強いので傘をさそうとしましたが、海風も強く、閉じたり開いたり、風に阻まれながら田園地帯を歩きました。

国道23号線の土手の下をくぐって東側の地域に入ると、田んぼが広がっていました。

すっかり稲刈りが終わった風景ですが、水路には水が流れ、ひこばえが伸び始めていてこれはこれで美しい風景です。

 

「まっすぐ東へ数百メートルほど」のところにある吉田方排水機場に立ち寄って、そのあと「鳥塚」神社を訪ねてみようという計画でした。

 

ところがあぜ道を直角に曲がりながらだと、とても時間が足りなことに気づきました。水田地帯ですから、「まっすぐ突っ切る」わけには行かないという痛恨の初歩的なミスです。

おまけに土地勘の全くないだだっ広い水田地帯は、GPSを頼りにしても歩くのに時間がかかります。

なかなか今までの失敗が生かされませんね。

 

排水機場は断念して、「鳥塚」神社を訪ねることにしました。

 

道に沿ってマリーゴールドが植えられて鮮やかです。どこからか生姜の香りが漂ってくると思ったら、田んぼの隅に生姜が植えられていました。

 

*鳥塚ではなく烏塚神社*

 

少し離れた場所からでも、その神社の鎮守の森はまるで小さな島のようにわかりました。

あぜ道をカクカクと曲がりながらたどり着くと、「鳥塚」ではなく「烏塚」であることに初めて気づきました。

 

由緒

寛文五年(一六六五)吉田藩主小笠原城主長矩の許しをうけ、吉田の人高須久太郎ら元締めとなって、高須、土倉の二新田を開発し、加護を祈るため同年七月烏塚山に創立した。

 

むかし、この烏塚の霊地は、海に浮かぶ島でした。

先人の方々は、この霊地を烏塚山と呼び、信仰の中心とし、多くの神々を祀られました。ぜひ、先人の方々の思いを継いで、神徳を頂き、子孫繁栄を成就させましょう。

 

江戸時代初期の新田開発による干拓地だったようです。

少しずつ沖へ沖へと土地を作り、この烏塚山まで干拓するのにどれだけ時間が必要だったのでしょう。

現在ではさらに、2kmぐらい沖合まで干拓地になっています。

 

 

*神野新田町の歴史にはたどり着けなかった*

 

少し先に豊橋市民病院が見えます。ここまで来ればあと1.5kmほど歩けば目的地まで行けそう、と元気が出て歩き始めました。

 

ところがまっすぐに水路を渡れるはずが、その排水路のそばには地図に描かれている橋がありません。引き返して別の道まで行き、そして豊橋市民病院の前を通る国道23号線にようやく出たと思ったら、横断歩道までまたはるかに迂回しなければならないことがわかりました。

 

ここでもう時間切れになりそうなことが確実になり、急遽計画を変更して、市民病院の北側の道をまっすぐ牟呂外神町まで歩くことにしました。

 

田んぼが続く道は疲れていても楽しいものです。

しばらく歩くと上り坂になり、牟呂水神町に入りました。

牟呂用水を渡り、外神(とがみ)公園に到着。ここから豊橋駅行きのバスがあるようです。と思ったら、乗るはずだったバスが目の前を通過していきました。

 

もう一歩も歩きたくないぐらいの疲労感です。公園のベンチがとてもありがたく、非常食のおにぎりを食べて30分後のバスを待ちました。

バスは市街地を流れる牟呂用水沿いを走り、豊橋駅に到着して今回の散歩が終わりました。

 

 

計画ではこの先の牟呂用水沿いの水路がぐいと向きを変える地域を歩いて柳生川を渡り、その対岸にある神野新田資料館を訪ねる予定でした。

 

なんだか今回の散歩は、豊川用水も牟呂用水も近くを歩きながら直接見ることができない幻になり、さらに牟呂用水の歴史を尋ねるのも中途半端な散歩になりました。

やはり広大な干拓地を歩く時には距離感が狂うことを忘れずに、余裕のある計画にしないとだめですね。

 

でもやり残した宿題が増えるのは、それはそれで楽しいものです。

次回は豊川(とよがわ)のどのあたりを歩きましょうか。困りましたね。

 

 

 

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