正しさより正確性を 18 「日常ではなかなかやらない動きが特徴」

先日、NHK NEWS WEBで「"危険”なとび箱 どう防ぐ」(2019年9月9日)というニュースがありました。

「年間2万件」。学校の体育の授業の「とび箱」で起きた事故の件数です。 

 

ああ、「もしバランスをくずしたら、手の骨を折るのではないか」という不安は私の精神的弱さではなく、現実に起こりうる不安だったのだと、長年の心に沈んでいた澱が流されていくような気持ちです。

 

「データーで見えてきた実態は」では以下のように書かれています。

先月24日に横浜市で開かれたシンポジウム。「繰り返されるとび箱事故から子どもを守る」がテーマになりました。ここで注目すべき事故の実態が紹介されました。

 

2016年までの3年間で日本スポーツ振興センターが事故で給付した医療費のデータをもとに産業技術総合研究所が分析しました。それによると全国の小中高(高専含む)では体育の授業中に年間21万件以上の事故が発生。

 

運動別では「バスケットボール」が5万1000件で最も多く、次いで「とび箱」が2万600件、そして「サッカー・フットサル」が1万9000件と続きました。

 

 「さらに見ると」に事故発生件数が載っていて、「ここで医療費が7万5000円以上の骨折などの大けがをした運動に限って分類すると小中学校ではとび箱が最も多くを占めたのです」とあり、小学校では事件発生件数の27.39%、中学校では15.77%がとび箱による事故のようです。

小中学生は手首や指を痛めることが最も多く、けがの40%以上が骨折となっています。

 

また2016年度までの10年間でみると骨折で関節が曲がりづらくなるなどの障害が残った事故が27件あったこともわかりました。 

 

私の周囲ではとび箱でケガをしたという話は聞かなかったけれど、広い社会の中ではけっこう事故につながっていることがようやくデーターになってきたようです。

 

*とび箱の動きとは何か*

 

長年、「なぜ私はとび箱が怖いのだろう」と考えつつ言葉にならなかったものが、このニュースで表現されていました。

なぜ事故が多いのでしょうか。とび箱運動に詳しい桐蔭横浜大学スポーツ健康政策学部の松本格之祐 教授は「とび箱は、”両手を前につき、体を前に投げ出す”という日常ではなかなかやらない動作が特徴。体の使い方に慣れていない状態で飛ぶと恐怖心を感じてブレーキをかけ、手に体重がかかる形になったりバランスを崩したりして事故につながることが多いです」と指摘しています。

 

そうなのだ!

身体能力の問題というより、日常ではなかなかやならい動作を求められていることに対し、事故(リスク)をどれだけ考えるかという差なのだと、すっきりしました。

 

プールでの飛び込みもそうですが、日常では求められていない身体能力を発達させるスポーツを子どもに教えることに対しては、上達段階に合わせた指導ができる人がいることが大前提になるのではないかと思います。

そして、その前に、子ども自身がそれに挑みたいか選択できることが必要な運動種目があるのだと。

 

スポーツにも運動(movement)があり、現代はどんどんと子どもたちに常人離れしたパフォーマンスを求める時代のように見えるので、一つ一つの運動種目について安全性が見直されていくことは大事だと思うニュースでした。

 

 

「正しさより正確性を」まとめはこちら