10年ひとむかし 81 「学校のプール、廃止相次ぐ」

以前は、曜日や時間帯によって空いていることが多かった公共のプールですが、最近はどの時間帯もけっこう人がいます。

統計があるかどうかわからないので、あくまでも私の見た印象ですが、ここ10年ほどで中高年スイマーが増えたことが関係があるかもしれません。

 

ここ数年ほどでさらに、速く泳ぐ人用・ゆっくり泳ぐ人用といったコースや周回コースが廃止になったプールが身近でも相次いだので、泳ぐ人数が増えただけでなく色々なレベルの人がひとつのコースに混在するので、一年中夏場のようなカオスの状態です。

 

代々木体育館のプールや目黒区民センターとか、屋内プールが限られていた1980年代初頭に比べたら温水プールがとても増えました。

ただ、それ以上に急激に水泳人口が増えたのだから、各駅前にひとつぐらい区民プールができないかなと最近思っていました。

 

ところが、「学校のプール、廃止相次ぐ・・・水泳の授業なくす自治体も」(2021年6月30日、東京新聞)という方向もあるのですね。

たしかに、屋外プールは老朽化や猛暑、あるいは日焼けを避けるといった時代の流れもありそうですね。

 

 老朽化した学校のプールを改修・新設せず、公営や民間の屋内プールでの水泳指導に切り替える自治体が出てきている。東京都葛飾教育委員会は、2021年度以降に改築する小学校にはプールを造らず、郊外の室内温水プールを活用する。区教委は「猛暑の影響などで、屋外プールでの水泳指導が思うようにできなくなってきている」と理由を説明する。 

 今秋からの学校改築に合わせ、校内の25mプールの取り壊しが決まった区立水元小学校など、現時点でプールを造り直さない方針が決まったのは3校。プールがない学校は区営のスポーツセンターや民間施設に徒歩かバスで移動して授業をする。施設のインストラクターも教員と指導にあたる。水元小の児童は来年度から、学校から約1キロ離れた区営スポーツセンターの温水プールを使う。 

 屋外の学校プールは、熱中症に気をつけるほか、水着姿を外から見られないよう配慮する必要もあり、学校の負担が大きい。区教委の学校施設担当、森孝行さんは「学校のプールがづあるべきかを自治体が考える時にきている」と話す。 区教委はコスト面の長所も挙げる。学校プールを造り直すよりも、利用料を支払って屋内プールを使う方が、1校につき年間約260万円を抑えられると試算する。 

 区立小に通う4年生の子がいる母親(46)は「炎天下で具合が悪くなった子もいたと聞く。屋内プール利用は時代にあっているのでは。インストラクターに習うことができるのも良いかも」と理解を示す。「移動に時間が取られ、プールに入る時間が短くなってしまわないか」と心配も口にした。

 

神奈川、埼玉、千葉では?

 

  学校プールの廃止は各地で進みは、授業自体をなくす自治体も出てきている。

  神奈川県海老名市は、2011年度までに19小中学校のプールを全廃した。市営の屋内プール4カ所に徒歩やバスで移動し授業を行う。移動しても時間が確保できるよう授業は2~3時間の連続にしている。

 同市教委の担当者は「屋外プールでは6~7月の間に授業をしなくてはならなかったが5~10月までに広げられ、計画通りに進めやすくなった」と利点を挙げる。

 埼玉県加須市では少子化を理由に21年度から小学校のプールの統廃合を進める。廃止する小学校の児童は、存続する近くの学校か民間のスイミングスクールで授業を受ける。中学校では22年度から水泳の授業を取りやめる。隣接の同県羽生市も20年度に全中学校のプールを廃止した。

 千葉県は19年度から、試験的に民間のスイミングスクールの利用とスクールの指導者による授業を始め、本年度は9校で実施予定だ。市教委は「多くの児童が意欲的で、プロの指導で上達を実感している」と手応えを感じている。

 課題は成績評価と移動だ。同市教委保健体育課の担当者は「学校とスクールでは評価の基準が違う」判断基準の作成を綿密にする必要がある」と話す。スポーツ庁の担当者は民間施設の活用に「安全面に考慮し、指導要領に示された内容を適切に実施していれば問題ない」とする。

 

私が1960年代後半から70年代に通った寒冷地の小学校にも30年ほど前にプールができていたことをつい最近知りました。

10年ほど前でもまだ、プールがあるのは全国の小中学校の7割程度だったので、これからは全ての小中学校にプールがある時代になるのかなと思っていたら、また時代の変化があったようです。

 

都内では小学校に区立の温水プールが併設されて授業と区民への一般開放と両立させていたところもありましたが、それだと子どもたちも移動しなくて良いし、通年で授業もできそうですが、やはり今後は廃止の方向になるのでしょうか。

 

ただ少子化高齢化でもプールに来る人は確実に増えているので、そのあたりのバランスも気になりますね。

温水プールが身近になってたかだか30〜40年ほどなのだと、泳ぐ場所も驚異的に変化する時代を振り返っています。

 

次はどんな10年になるのでしょうか。

 

 

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