散歩をする 166 九頭竜湖と九頭竜川

九頭竜川の上流には九頭竜湖ダムがあり、そこまでJR美北線が通っています。

ところが、九頭竜川の本流はその途中から北西へと流れを変えて、えちぜん鉄道勝山永平寺線に沿って流れています。

計画の最初の段階では、福井駅からJR美北線でダムのあたりをみて福井駅へ引き返し、次にえちぜん鉄道で終点勝山あたりまでまた一往復して、その本流の全体を見るしかないかと思っていました。そうなると1日がかりになりそうです。

 

何度も地図を眺めているうちに、えちぜん鉄道の終点勝山駅から数キロ上流にたくさんの支流が合流しているように見える場所が気になりだしました。

何とかしてここも見てみたい、でも鉄道だけでは無理でタクシーを使うしかないかと諦めたところ、JR美北線の越前大野駅からえちぜん鉄道勝山駅まで路線バスがあり、ちょうどその合流部の上を通過することを発見しました!

これで同じ路線を往復せずに、4時間ほどでぐるりと九頭竜川に沿ってまわることができそうです。

航空写真で見ると、ちょうどそのあたりは山が途切れて平地が広がっています。

 

もしかしたら、「9頭の竜」のようにたくさんの川が合流する下流域だけでなく、このあたりもまた9頭の竜が暴れまわっていたのかもしれません。

 

さあ、旅の二日目も列車と路線バスの乗り継ぎ時間が少ない分刻みのスケジュールになりそうです。

 

*美北線で九頭竜湖へ*

 

朝9時過ぎに出発する九頭竜湖行きの2両編成の列車に乗りました。

駅を出るとじきに水田が広がります。山も近く、本当に美しい風景です。最初に近づいてきた川は九頭竜川支流の足羽川で、美北線はここからしばらくこの川と何度も交差しながら山の中へと入っていきます。

途中、一条谷駅で数人が降りました。ここがブラタモリで紹介されていたあの一条谷朝倉氏遺跡がある場所のようです。歴史に関心が深い方ならWikipediaを読んだだけでも、その時代を思い浮かべられるのでしょうか。残念ながら私にはよくわからず、ただ、ここもまた美しい水田と用水路、足羽川の豊かな水だけに心を震わせながら通過しました。

 

この辺りから、列車は上り坂で山の中に入ります。

時に地図にも載っていない川や水路があちこちにあり、その多くが石積みの護岸でした。線路脇の防護壁というのでしょうか、それもコンクリートではなく石積みの場所もありました。人の手で積み上げられ、長年、雪や雨に耐えてきたのでしょうか。

 

越前大野駅で列車は切り離され、九頭竜湖までは1両の列車になりました。

平日でしたが数人の乗客がいて、鉄道が好きそうな人の一人旅のようです。

終点九頭竜湖駅からダム本体までは数百mなので見てみたかったのですが、次の列車は4時間後になってしまうので、ほとんどの乗客が私と同じく、いま乗った列車でもどるようでした。

 

越前大野

九頭竜湖駅に到着して9分後に出発する列車で折り返し、越前大野駅で降りてバスに乗りました。

1日に数本しか列車が来ない小さな街を想像していたら、駅周辺も街も整備されて美しい街でした。バスの車窓からはあの掛川に似た印象を受けたのですが、大野市の説明を読むとその理由がわかりました。

市街地はかつての城下町の面影を強く残し、越前の小京都として知られる。

 

ゆっくり歩いてみたいと思う街並みですが、さらに、Wikipediaの以下の部分に引きつけられました。

冬季は市全体が特別豪雪地帯に指定されているほどの降雪量があり、九頭竜ダムなど大規模な人工湖も点在するが、その膨大な水量とは裏腹に名水と謂われる市街地周辺の湧水や河川伏流水は道路などの消雪のためにも汲み上げられ、水不足が懸念されるといった皮肉な状況となるため、河川伏流水を含めた総合的な水利用のあり方を模索している。

雪が多くても水不足になる、虚を突かれるような話です。

 

越前大野から勝山へ*

 

バスは城下町の趣を残す市内を回りながら、いよいよ3kmほど離れた下荒井ダムにさしかかりました。

航空写真ではどれくらいの高さのダムなのかわからなかったのですが、近づいてみてそれほど高くないことがわかりました。そばにある関西電力発電所の取水堰のようです。

下荒井ダムのそばにかかる橋はあっという間に渡ってしまったので、上流から何本もの川が合流している風景も一瞬で過ぎてしまいましたが、地図のあの場所をこの目で確認できました。

 

ここからは九頭竜川を少し離れた水田地帯をバスが走り、再び城下町の雰囲気が感じられる勝山駅が近づいたところで、九頭竜川を渡り、駅に到着しました。

勝山駅昔ながらの風情ある駅で、駅前には恐竜の像があり、遠くの山に銀色に光る建物が見えました。

恐竜博物館がこのあたりにあったことと、初めてつながりました。

 

ここからはえちぜん鉄道で、しばらく九頭竜川本流沿いの風景を見ることができました。

 

九頭竜川をずっと眺めることができたという満ち足りた想いと、一条谷や越前大野、そして勝山といった落ち着いた街に圧倒された旅でした。

あの1970年代ごろの、まだ平日だと人が少なくて鄙びた風情があり静かだった鎌倉から北鎌倉周辺の風景が重なりました。

 

13時過ぎに福井駅に戻り、もうちょっと欲張って見て歩きます。

 

 

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