散歩をする 165 鯖江市と 西山公園

九頭竜川河口を見たあと、福井市に近い場所に宿泊しました。

旅の二日目は、九頭竜川の支流と本流を一気にながめる予定です。

 

二日目のスタートは、鯖江です。

鯖江市には、JR鯖江駅福井鉄道の西鯖江駅があって、二つの鉄道が少し離れながら福井まで並走しています。

 

鯖江」という地名も30年ほど前に聞いた記憶があるのですが、もっと京都よりにあったように記憶していたのは、鯖街道と混乱していたようです。

地図で見ると福井市よりも内陸部なのになぜ「鯖」がつくのだろうと興味が湧いたのですが、Wikipediaなどを読んでも答えはわかりませんでした。

現地へ行ってみれば何かわかるかもしれないし、そこには九頭竜川の支流である日野川が西鯖江駅の近くを流れています。

なぜか惹かれるものがあって、ここをスタートに決めました。

 

*予想以上に落ち着いた美しい街だった*

 

Wikipediaの「特産である眼鏡産業」「データーシティ鯖江」といった説明を読むと、最近発展してきた地方都市というイメージですが、歩いて見るともっと歴史が大事に残されている街でした。

 

JR鯖江駅から福井鉄道の西鯖江駅方面へは少しずつ下り坂になっていて、日野川河岸段丘だろうと思われました。

何となく勘を頼りに歩いていると、商店街に「鯖江藩陣屋跡」という説明板があり、その近くに「旧町名 鯖江藩古町、現在 本町2丁目」と表示されていました。

鎌倉時代誠照寺門前町として発展し、江戸時代には間部氏鯖江藩5万石(のち4万石)の鯖江陣屋を中心とした陣屋町となった。(Wikipedia) 

 

商店街の歩道はゆったりとしていて、木で造られたベンチがあちこちにありました。これをみただけで、この街が好きになりそうです。

しばらく歩くと、白壁が続いた大きなお寺がありました。これが誠照寺のようです。

お寺を中心にして、街全体が静かに広がっています。

 

*西山公園*

 

お寺からすぐのところに福井鉄道西鯖江駅が見えてきました。そして想像した通り、その線路の向こう側は小高い場所になっています。

地図で見ると西鯖江駅から福井市方向へは緩やかなS字状の線路が描かれていますから、おそらく丘のような場所の脇を走っているのだろうと思った通りです。

 

そこが西山公園です。

朝8時前でしたが、ゆったりと散歩をする人たちがぼちぼちといました。

 

息が切れるような坂道を登ると展望台があり、鯖江市周辺が一望できます。

日野川の流れは残念ながら堤防に植わった木に遮られて見えませんでしたが、九頭竜川の支流が岐阜県境の山々のあちこちから流れ込む様子がイメージできる場所でした。

四方八方の山の合間から激しい洪水がこの平地に流れ込み、西山公園のように小高い場所の真下でその水がぶつかり合っているようすを想像すると、昔の人には「9頭の竜が荒れ狂う」ように見えたかもしれないと妄想したのでした。

 

西山公園の説明書きがありました。

領民のために大名が庭園を築いたのは、鯖江の「嚮陽渓」、水戸の「偕楽園」、白河の「南湖」などの他にはほとんど例がないと言われています。

鯖江藩7代藩主の間部詮勝が長泉寺山周辺を息の場として造営し、1856年(安政3年)に嚮陽渓(きょうようけい)と命名した」(Wikipedia)と書かれているのは、「領民のための庭園」だったようです。

 

それにしても、今年1月に偕楽園、8月に白河を歩いたことが、ノブレス・オブリージュという点で偶然ですがつながりました。

領民のための庭園が、一世紀後、2世紀後に近代の公園へと発展し、私たちが恩恵を受けている。

 

何となく決めた鯖江でしたが、過去の散歩とつながって満ち足りた時間でした。

 

西鯖江駅から福井駅へ向かう電車は、黄色く色づいた水田の中をまっすぐまっすぐ走り、九頭竜川とその支流が作り出した風景に見入ったのでした。

 

さあ、いよいよ九頭竜湖九頭竜川本流へ向かいます。

 

 

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