散歩をする 449 芝原上水沿いに永平寺口駅へ

富山の庄川から福井の九頭竜川を訪ねる散歩の最終日、夜中に緊急地震速報で目が覚めたら夢でした。

やれやれと思ってもう一度眠ったら、朝方に千葉で震度5強の地震がありました。以前だったら「予知能力がある」と勘違いしたり、「地震の夢は不吉なことの前兆」という思い込みと強い不安感に囚われたかもしれませんが、地震多発国なのでこんなこともありますね。

 

 

えちぜん鉄道永平寺口駅へ*

 

8時前にチェックアウトして、えちぜん鉄道の駅に向いました。えちぜん鉄道の構内は木の内装を施して美しいつくりです。

 

気温は15度なのに、5月も半ばになるとすでに暑く感じて半袖にしました。予想最高気温は24度近いので今日もバテずにどこまで歩けることでしょうか。

8時28分発の勝山永平寺線に乗りました。朝日が列車内に入り込んできたところで、私にはどうしても西日にしか感じられなくてまた方向感覚を失いました。

 

高架橋の線路上を走り始めると福井市内のゆったりした市街地が一望できます。

福井口駅のあたりからは芝原上水が見え始めるので、右側の車窓に集中しました。

 

コンクリート張りの水路が見えました。時々住宅地の中に消えながら、越前開発駅を過ぎるとしばらくすぐそばを並走しました。越前開発、以前だったらきっと不思議な駅名ぐらいにしか思わなかったでしょうが、新田開発と関係があるだろうと推測した通りこのあたりから水田地帯が増えてきました。

芝原上水と近づいたり離れたりしながら田植えの終わったばかりの水田の美しい風景です。

越前島橋駅の手前で、先ほどまでの浅い水路とは全く違い、轟々と流れる芝原上水の上を通過しました。

 

ここからは芝原上水は車窓の左側の九頭竜川の近くへと消えて、列車は少しずつ高台へと上り始めました。

住宅街を抜け、さらに高いところへと走ると眼下に街道沿いの細長い集落とその向こうの一段と低い場所を流れる九頭竜川が見えました。

悠々と流れる美しい風景です。

地図を見ながら計画を立てていた時に、余裕があればこのあたりを歩いてみたいと思っていたのですが、ぜひ歩いてみようと決意に変わりました。

 

右手は森で見上げるような山肌、左手はその細い集落沿いの区間をしばらく走るとまた目の前が開けて永平寺口駅へと到着しました。

 

2019年に永平寺を訪ねた時には行き帰りともに特急永平寺ライナーという直行バスで、どのあたりを通ったのかあまり記憶に残っていません。

2日目にはJR越美北線で九頭竜湖駅まで行き、すぐに折り返しの列車で越前大野駅に戻ってそこからえちぜん鉄道勝山駅までバスで向かい、福井駅までえちぜん鉄道の車窓の風景を眺めました。

 

永平寺口駅は初めて下車します。

 

 

*モダンな風景*

 

 

駅の南側は地図では平地に見えるのですが、実際には奥まったところに永平寺がある低い丘陵地帯が迫っているように感じました。地名も「山」となっています。

その緑の森を背景に、明治から大正時代を思わせるようなこれまたおしゃれな駅舎でした。

 

目の前に煉瓦の建物があります。

旧京都電燈古市変電所

 旧京都電燈古市変電所は、電車を走らせるための電気を供給する変電所として大正3年(1914年)に建てられました。

煉瓦造平屋建、屋根は切妻造桟瓦葺(きりづまづくりさんかわらぶき)です。[桁行19m/梁間8m]

 内部に広い空間を作り出すため、側柱以外の柱を設けずに、木造のトラスで屋根を支えています。明かりをとる窓の他に電線を通すための丸い開口部が設けられ、特徴のある外観となっています。文化財的価値は高く、平成23年には、国の登録有形文化財に指定されています。県内では数少ない大規模煉瓦造の建築です。

 この地域の歴史・個性を表すシンボル的建築物として、貴重な文化財を少しでも長く保存するために平成26年に、外観保存補強工事を実施しました。レンガの補修・屋根瓦の補修等を実施しております。

 

「この地域の歴史・個性を表すシンボル的建築物」

大正時代には水田地帯に突如として建てられたモダンな建築だったのではないかと想像するのですが、このえちぜん鉄道のそれぞれの駅舎や周辺の風景とつながり合っているような何かを感じる建物でした。

モダンな風景になるには1世紀ほどかかるのかもしれませんね。

 

この案内板には、永平寺と思われる修行僧の漫画のような絵が描かれていました。

父もこの案内板を目にしたでしょうか。このあたりの風景を見て何を思ったのでしょうか。

 

今回は永平寺とは反対の、九頭竜川へと向かいます。

父が修行のために訪れたところに、30年ほどの時を経て娘が川や水路を求めて来るとは想像もしていなかったことでしょう。

人生とは不思議ですね。

 

 

 

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