観察する 64 アジメドジョウ

九頭竜川上流域で採れたアジメドジョウは、水でよく洗いぬめりを落として片栗粉か小麦粉をつけ、確か塩で味付けして唐揚げにされていました。

映像の中では、ドジョウのイメージのままの茶色い細長い10cmぐらいの体に濃い茶色の丸が横にいくつか入っているように見えました。

 

そうだ、「くらべてわかる淡水魚」で調べてみようと、本を引っ張り出しました。

すぐに見つかるかと思ったら、似たような写真・絵と異なる名前がたくさん載っています。

ドジョウの仲間 

小型の淡水魚。日本産の種はすべてにヒゲを持つ。普段は水底に腹をつけて静止して過ごし、泳ぐときにだけ体を浮かせる。日本には外来種2種類を含めて29種・亜種が知られています。

 

母はドジョウを身近に子供時代を過ごしたようですが、高校生まで水田が近くにある場所で育ったのに私はドジョウをその地域で見たことがありませんでした。

むしろ浅草や渋谷のドジョウ専門店の方が有名で、初めてドジョウを食べたのは1970年代終わり頃にそのお店で物珍しさから食べた1回きりです。

 

ドジョウを描けと言われたら、茶色い細長い体を描いて筆が止まることでしょう。

そうか、日本にいるドジョウはヒゲを必ず持つのですね。

ごくたまに鮮魚コーナーにドジョウを見かけるのですが、金魚のようにビニール袋に入れられた中で泳いでいるイメージでした。ドジョウも動かない魚だったとは。

 

さて、その本には「ドジョウ属」「シマドジョウ属」「ホトケドジョウ属」「フクドジョウ属」の「2亜科4属」だけの掲載でした。「2亜科」ってなんのことだっけとわからないけれど飛ばして、写真を見比べました。

 

アジメドジョウはアジメドジョウ属で、もしかしたらマイナーなので掲載されていないのでしょうか。

「シマドジョウに似ているが、目を通る線状の模様がないことで見分けられる」とさらりと書いてありますが、ただでさえ目がしょぼしょぼするので写真を見てもわかりません。

ああ、もっと目が良かった頃に分類のすごさに気づけばよかったとがっかりです。

 

ちなみに「くらべてわかる淡水魚」によれば、「ドジョウ類の見分け方」には「属の識別ー顔つき、尾ビレの形を手がかりに」とあっさり書いてあります。

簡単そうですが、例えば「ドジョウ属」は「丸顔」、「シマドジョウ属」は「ほっそりした顔」、「ホトケドジョウ属」は「上下に押しつぶした顔」、そして「フクドジョウ属」は「頭の高さと横幅が同じくらい」と書かれていて、私にはさっぱり違いが見分けられません。

 

ドジョウを身近に生活されてきた方々は、いつもこの顔や姿を眺めて、他の地域のドジョウとの違いを正確に見分けられるようになるのでしょうか。

「これはアジメドジョウ」と、あの九頭竜川流域に暮らす方々が当たり前のように分類名を口にするようになったのはいつ頃なのだろう。

魚一つとっても、ほんと、知らないことだらけです。

 

私はただ川や山、水田の風景が好きで見てまわっているけれど、同じ風景を見てもある魚や水草、動物などの生態が思い浮かぶ人たちもいることでしょうね。

 

 

 

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