記録のあれこれ 46 災害時の医療施設の記録

医療機関が被災した過去の大きな災害で、私がその記録的なものを読んだのは阪神大震災が最初でした。東日本大震災では石巻赤十字病院の状況が書かれた本が出版されたり、医学系や看護系雑誌でも災害に関する記事が増えました。

ただどちらかというとあまりに被害が大きすぎて、細かなところから分析するというよりも大まかな全体像だけがまとめられて、また災害のことは忘れていくような感じです。

 

今回の台風15号のあちこちのニュースでも、被災した医療機関のスタッフや地域の保健師さんたちのことが伝えられていましたが、自身も被災した上に非常時の医療を担っていらっしゃる姿に、今何が必要なのだろうと考えても、それぞれの施設のニーズを知るには手も足も出ません。

 

事態が収束してからも、実際にどのような困難があったか、どのように対応したか、うまく行ったことだけではなく細かな反省点まで現場の報告を収集し過去の経験を蓄積できる体制にならないのはなぜだろうと、大きな災害が起こるたびに考えています。

もちろん生かされている教訓は多いだろうと思うのですが、これだけ災害の多い国で災害時の経験を束ねる体制がないのではないかと。

 

 

思いついた理由の一つは、医療機関というのは日常的にも急変といった非日常の業務と隣り合わせの上に、災害時には通常の診療に加えて救急医療的なことも担うので、現場はキャパオーバーになっていることもあるかもしれません。

災害のことを振り返る余裕もなく、また日常の診療をこなしていかなければならないので。

 

あるいは、それぞれの診療科や医療施設の規模などによっても災害時の問題点など特殊性が幅広いので、なかなか簡単にはまとめられないということもあるかもしれません。

 

また、日本津々浦々、医療施設がある地域の地理や状況もまたそれぞれ大きく異なることもあることでしょう。

 

ただ、先日の災害時の記録をつけていた方のニュースをみて、もしかしたら各施設でまずは時系列の記録を残していくこと、それをもとに災害ごとの医療のまとめのようなものを積み上げるシステムがあったら、そしてそのまとめをいつでも誰もが読むことができたら、もっと教訓を次に活かせるのではないかとふと思いつきました。

厚労省内に、医療機関の災害記録を収集保管する部署ってあるのでしょうか。

 

どのような災害で、どのように対応したか。

医療施設の災害史のようなものがあれば読んでみたいものです。

 

 

 

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