記録のあれこれ  70 コスタ・アトランチカ出港

「コスタ・アトランチカ」

ダイヤモンド・プリンセス号の名前は覚えたのに、なかなかこの船舶の名前は覚えられないまま、出港するニュースが5月29日に伝えられました。

長崎に停泊 集団感染のクルーズ船 全員の陰性確認 31日出港へ 

(2020年5月29日 18時11分   NHK NEWS WEB)

 

新型コロナウイルスの集団感染が確認された大型クルーズ船について、長崎県は、船に残る全員の陰性が確認されたとして31日、長崎港を出港し、フィリピンに向かう予定になったと明らかにしました。

三菱鉱業長崎造船所の香焼工場に停泊しているイタリア船籍の大型クルーズ船、「コスタ・アトランチカ」では、当初いた620人余りの乗組員のうち149人の新型コロナウイルスの感染が確認されました。

29日行われた長崎県の記者会見で、福祉保健部の中田勝己部長は大型クルーズ船について、29日までに船に残る全員の陰性が確認されたとして、31日午前11時に長崎港を出港し、フィリピンに向かう予定になったと明らかにしました。

一方、感染が確認され、現在、長崎市内の指定医療機関に入院しているクルーズ船の乗組員4人は退院までは市内にとどまり、その後、出国する予定だということです。

中田部長は「入院患者が退院するまで県としてしっかり対応したい。出港を持ってゴールということでなく、今後も、可能な限りの感染経路の特定やクルーズ船を受け入れるうえでの体制整備を進める」と話しています。

 

ダイヤモンド・プリンセンス号の動向を毎日緊張感を持って追っていた2ヶ月ほどでしたが、3月25日に横浜港を出港して本牧埠頭の工場へと移動したときには、ニュースを追っているだけの身でもカクンと力が抜ける安堵感でした。

 

そして、日本は海に囲まれた国であることに再び緊張したのが、コスタ・アトランチカ号で4月20日に乗組員の感染が確認されたニュースでした。

 

入退院のデーターを見直すと、全国の「人工呼吸/ICU」が4月1日が「60人」だったのに対して、20日までには「231人」と急激に増えていき、医療の受け入れが逼迫していく危機感が強くなっていった時期でした。

 

乗組員の皆さんの中で感染者と重症者が増えたら、九州全体で受け入れるのだろうか。地域の医療も大変なことになるでしょうし、何よりも船上で、そして外国で感染症にかかられる方々の不安も大変だと遠くから心配になりました。

自衛隊の活動の記録を読み直すと、4月23日から25日まで「長崎港停泊中の外国船籍におけるPCR検査のための検体採取支援を実施」していました。

また、当時、全国で自衛隊が感染拡大防止のためのさまざまな支援活動を実施していたなかで、5月2日から14日まで「長崎市内においてCT診断車による医療機器材などの支援」を実施していることが書かれていましたが、これもコスタ・アトランチカ号に関連したものなのかと思いながら読んでいました。

 

その後、関連したニュースが少なかったのですが、あまり重症者が出なかったのは比較的体力のある乗組員だけが乗船していたからではないかといった話や、クラスター班の方が遠隔で健康チェックをしたことを見かけました。

関係したさまざまな業種の方々の、緊張と責任の重さはいかばかりだったことでしょう。

 

ダイヤモンドプリンセス号の経験を生かしながら試行錯誤されたのだろうと思いますが、「人を救命する、できるだけ良い状態にする」ことがいつも目標にあって、現実の中でできる限りをするこの社会に、いつからか大きな信頼感を感じるようになりました。

あの東日本大震災の経験も大きかったかもしれません。

 

無事に、コスタリカ・アトランチカ号が出港した。

よかった点、次回に生かす点、だれか事実を追って全体像をまとめてくださるとうれしいですね。

 

 

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