生活のあれこれ 27 オーバーツーリズムや災害と観光

8月4日はあらかじめ報道で会見内容がわかっていることよりも、沖縄諸島で多くの観光客が足止めされ、さらに台風6号がUターンしてまた直撃する可能性について何か発表があるかと期待していましたが、相変わらず災害や感染症などの危機には気配が感じられなくなる政府ですね。

 

 

沖縄地方や奄美地方では、6日(日)にかけて暴風や高波、高潮、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重な注意が必要だ。沖縄地方では5日午後から6日午前中にかけて、奄美地方では5日午後から6日日中にかけて、線上降水帯が発生して大雨災害の危険度が急激に高まる可能性がある。

(「線状降水帯発生のおそれも 台風6号 6日(日)にかけて沖縄・奄美に再接近 暴風や高波、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重注意」ウエザーマップ、2023年8月5日6:04)

 

5日もまだ飛行機は欠航で、断水や停電、通信障害そして食品などの流通も止まっているうえに、復旧の目処も立たないのではかなり深刻な状況ですね。

すでに大きな被害を出している台風が再び戻ってくるのはそこに住む方々の生活と身の危険を守るだけでも大変なのに、たくさんの旅行客にも対応しなければならないのですからその地域の方々の個人の親切とか思いやりではとても無理な話ですよね。

 

そして5月以来沖縄の医療機関も大変そうでしたが、この足止めでまた感染症対応や救急への負担が増えないといいですけれど。

 

 

ユネスコの「危機遺産」*

 

3月以来、都内も急激に外国人旅行客が増えて、通勤ラッシュ時でも大きな荷物をもって集団で行動する旅行客を避けながら歩くので、念の為ふだんよりも1本早い電車にしています。ほんとタッチの差で10分とか違ってしまう朝のラッシュですからね。

そういえば早起きまでさせて混雑を緩和させようとしていたのはどうなったのでしょうね。

狭いホームで集団で立ち止まっていたり今までとは違う通勤時間帯の様子に、地味に生活のペースを変えさせられているつらさを感じるこの頃です。

 

最近、オーバーツーリズムという言葉を耳にするようになりました。

水の都ベネチアユネスコが「危機遺産」指定を勧告

 

ロンドン(CNN)「水の都」として知られるイタリア北部の観光都ベネチアで、訪問客の集中や気候変動による問題が深刻化しているとして、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が「危機遺産」への指定を勧告した。

 

ユネスコはイタリア政府に対し、問題解決への取り組みを呼びかけている。

ベネチアユネスコ世界遺産に登録されているが、9月にサウジアラビアで開催される世界遺産委員会に向け、ユネスコと諮問機関の専門家らが危機遺産リストに加えることを提案した。

観光客が過度に押し寄せる「オーバーツーリズム」や開発プロジェクト、気候変動などに関連する「持続的で複雑な問題」への取り組みに十分な前進が見られないとの懸念からだ。建物や街区が劣化し、ベネチアの特徴や価値が損なわれて回復不可能となる恐れがあると、ユネスコは指摘する。

ベネチアでは2019年、高潮で歴史地区が浸水。今年2月には干ばつが悪化し、運河が通行できなくなった。

一部の水路で大型クルーズ船の乗り入れを禁止するなどの対策は講じられたが、オーバーツーリズムの問題も続いている。

CNN提携局によると、ベネチア市当局は提案を慎重に検討し、政府と対応を協議すると発表した。

(CNNニュース、2023年8月1日)

 

ベネチアと聞くと、1979年に始まった歴史の浅いカーニバルで、人がたくさん集まったことが感染拡大に影響していた可能性をすぐに思い出します。

 

この未曾有の感染症拡大で、「人との距離をとる、人の流れを集中させずに分散させる」変化のきっかけになるかなと期待していたのですが、社会というのはあまり変わらないものですね。

さまざまな意味でリスクが高い雑踏にあえてそこに行きたくなる人間の性と、たくさんの人を呼び込むことが「活気がある」とか「経済性が高い」とする観光とは親和性があるのかもしれませんね。

イベントや話題性で盛り上げたりたくさんの人を集めることで成り立つ観光は、長い目で見るとその地域の生活を蝕んでいくことになるのではないか。

少し立ち止まった方が良さそうに感じるのですけれど。

 

そうそう、「東京グッドマナー」という気恥ずかしい話は聞かなくなったけれど、もしかするとスクランブル交差点を眺めるとか通勤ラッシュの電車を体験とかいまだに「観光の目玉」のように紹介されているのでしょうか。それは勘弁ですね。

 

 

そして東日本大震災のように帰宅難民が溢れる状況になった時、数少ない旅人であればその地域の自ら被災している人たちの手で守ることもできるとは思いますが、誰がこの大挙して押し寄せている外国人観光客を守るのでしょうか。

あるいは、また未曾有の感染症が拡大した時に人との距離をとる余裕や医療機関がそれを受け入れる余裕はあるのでしょうか。

 

リスクは分散する。観光に依存しすぎない社会や経済

何にしても大事なことですね。

でもなかなか失敗から学ばないのも人間かもしれませんね。

 

 

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