散歩をする  220 大崎から品川へ

琵琶湖から淀川水系を歩いた記録はまだ途中なのですが、書いているうちにむしょうに新幹線を見に行きたくなりました。

通勤途中の駅での乗り換えで新幹線が見えるのですが、以前なら少なくとも1~2本は見ることができたのに、最近は10分ぐらいいても通過しないことがありました。

 

緊急事態宣言発出後、乗車率が下がり、ゴールデンウイークあたりでは誰も乗っていない東北新幹線が東京駅を出発する映像もニュースで流れました。

5月28日以降、JR東日本が本数を4割削減するとしていた東北・上越北陸新幹線などは、緊急事態宣言の一部解除で乗客が徐々にが増えていることから通常ダイヤのままになったことが5月22日の日テレニュースで伝えられていました。そのニュースに「東海道新幹線も、減便している定期列車を来月1日から全て通常運転に戻す」と書かれていたので、やはり、通勤途中のホームで見かけなくなったのは偶然ではなかったようです。

 

東京でも緊急事態宣言が解除になる少し前に、新幹線を見に散歩をしてみようと思いたちました。

 

いつもだいたい品川駅から東海道新幹線に乗るのですが、出発した直後の車窓の風景があまり記憶にないので、どんなところを走っているのだろうと興味が湧きました。

 

*大崎から御殿山*

 

以前、目黒川河口から天王洲アイルまで歩いた時に、目黒川の上を通過する新幹線を見ました。その時に、初めて「ああ、ここを通過していたのか」と思ったくらい、それまでは新幹線にも関心がそれほどありませんでした。

 

今回は、ここからスタートして品川駅まで歩くことにしました。

 

大崎駅を出て、目黒川沿いに出ます。木々の緑が鮮やかで、初夏の草花も美しい季節です。

歩道沿いの樹木もよく手入れされているように見えました。

近隣の商業施設はまだ休業していましたが、やはり川辺を歩く人はぼちぼちといました。

時々すれ違う程度でしたから、マスクはビニール袋に入れて手に持って一応持ってますとアピールして歩きました。30度近い日だったので、熱中症が怖いですからね。

 

しばらく歩くと、山手通りと御殿山通りの交差点です。「山」と付くだけあって、ここから左手に続く御殿山通りは結構な上り坂でした。

どうやら新幹線や山手線、東海道線京浜東北線そして横須賀線はこの御殿山を切り崩したところを走っていたようです。

Wikipedia御殿山に、「明治期には鉄道敷設のために東西に分断された」とあります。また、途中で「八ツ山」という地名を見た記憶があるのですが、それについてはこう書かれています。

北方の高輪には三菱開東閣で有名な八ツ山(土砂採取され、現在は山はない)がある。 

 

城南五山という小高い場所があったのですね。

日本で初めて蒸気機関車が走った頃の海のそばを通っている絵が印象に残っていたので、片側は小高く反対側は海だと思い込んでいたのでした。山を切り崩していたとは。明治以降の土木技術はすごい変化だったのですね。

 

さて、その交差点に立って新幹線を待ったのですが、他の列車は頻繁に通過するのになかなか新幹線は通らず、10分ほどしてようやく見ることができました。

やっと1本きたと喜んでいたら、続けて、上下の新幹線が目の前で交差するように通過していきました。幸せ!

 

その間にも、3回ほど真上をJALが飛行していきました。4月3日から都心低空ルートに変更されたからでしょうか。 新幹線よりも多く見るとは意外でした。

 

*御殿山から品川へ*

 

交差点でぼーっと立っている怪しい人になりそうでしたから、ぼちぼちと歩くことにしました。

 

御殿山通りの上り坂を歩いていくと、住宅と住宅の間に、新幹線が通過していくのが見えました。途中で通りは右に曲がることをあらかじめ地図で見ていたのですが、その新幹線に惹かれるように、一本間違えて住宅街の行止りの道に入り込んでしまいました。

御殿山通りは街路樹や植え込みがよく手入れされていて、ところどころに木製のベンチが置かれてまるで絵のような通りです。

右に曲がると、すぐにミャンマー大使館があり、反対側には大きなマンションで、それぞれが木に囲まれていました。

どこからか水が流れる音が聞こえてきます。マンションの庭園の池のようです。地図には暗渠が描かれていますが、三田用水の一部でしょうか。その辺りから少し下り坂になり、陸橋があります。

 

品川を出る全ての路線を見ることができるその陸橋で、しばらく列車の通過を見ていました。

 

御殿山通りはこの陸橋から少し下り坂になって、第一京浜まで続いているようです。昔の小高い丘を感じながら歩き、今度は第一京浜沿いに品川へと歩きました。

 

第一京浜の陸橋では、新幹線の部分はトンネルのようになっています。

品川を出てすぐにこんなところを通過していたのかと、次に乗る時には見逃さないようにしたいものですね。

 

この陸橋は御殿山通りのような保護の網がなく、あまり端に近づいて見ていると列車に飛び込む人のように見えてしまうので、車道側によってしばらく新幹線の通過を眺めていました。ここから大崎に向かって緩やかにS字にカーブしながら西大井方面へと向かう場所です。

気づいたことを下を向いてiPhoneにメモをしていたら、いつの間にか新幹線が通過しています。他の列車の走行音は遠くからわかるのですが、新幹線は小さなヒューっという音を聞き逃すといつの間にか目の前をすぎてしまいます。

 

ああ、なんだろう、この充実した時間は。

もう一本、もう一本とキリがなく、いろいろな列車と航空機も見続けて入られそうです。

 

夕方になり、風が強くなってきました。やはり海が近いのですね。

地形や気候、さまざまな専門知識の積み重ねで、この複雑な陸と空の交通網があるのだと、なんだか圧倒された散歩でした。

 

 

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