事実とは何か 71 特定非常災害と激甚災害

7月4日からの大雨の被害は時間とともに九州各地に広がり、さらに近畿・東海地方にまで広がり続けています。

台風や低気圧と違って、一晩たてば過ぎ去るわけではない梅雨前線の広範囲な被害に、この場合は激甚災害というのだろうかと思ってニュースを追っていたところ、特定非常災害という言葉が出てきました。

九州豪雨 首相 「特定非常災害」指定へ検討 加速を指示 

(2020年7月7日 19時15分  NHK NEWS WEB)

安倍総理は政府の「非常災害対策本部」で、被災者の生活再建のため、行政上の特例措置を適用する「特定非常災害」への指定の検討を加速するよう指示しました。また、被災者支援に当たるため、現地に派遣している自衛隊を2万人規模に拡充する考えを示しました。

この中で安倍総理大臣は「現地では、増水や土砂崩れによって道路が寸断されることなどにより多くの集落が孤立しており、被災者の皆さんの救助や支援、安否不明者の捜索などに引き続き全力をあげてもらいたい」と述べました。

その上で「入浴や食事などの支援へのニーズも高まっており、自衛隊については、今後、さらに1万人を増強し、2万人態勢へと拡大することで被災者支援に万全を期す方針だ」と述べ、現地に派遣している自衛隊を2万人規模に拡充する考えを示しました。

また、「被災地では大量の災害廃棄物や土砂が発生しており、一日でも早く撤去することが被災者の皆さんの生活再建の第一歩だ。自治体と連携しながら、自衛隊も撤去作業への支援を続け、廃棄物の収集、撤去、広域処理を加速してほしい

と述べました。

さらに安倍総理大臣は「豪雨災害による一連の被害状況を確認しながら、被災者の生活再建に向けた動きをしっかりと後押ししていくために、今回の災害を『特定非常災害』に早急に指定するよう検討を加速してもらいたい」と述べ、被災者の生活再建のため、行政上の特例措置を適用する「特定非常災害」への指定の検討を加速するよう支持しました。

そして「大雨特別警報は大雨警報に切り替わったが、梅雨前線は、少なくとも9日ごろにかけて本州付近に停滞し、広域な地域で大雨のなる可能性がある。国民の皆さんには引き続き自治体からの情報に十分に注意し、油断することなく、早め早めに命を守る行動をとっていただくようお願いする」と呼びかけました。

 

大きな災害のたびにこうした首相からの呼びかけがあるのですが、私自身、政治の用語はなんとなく避けてそのままにしてきてしまったので、「特定非常災害」というのはどういう区分なのか全く知らないままきてしまいました。

「なるほど地図帳 日本の自然災害危機の対策」に書かれているかと読み直してみたのですが、ありませんでした。

 

コトバンクを読んでみました。

著しく異常かつ激甚な非常災害。死者・行方不明者・負傷者・避難者などの罹災者(りさいしゃ)および住宅の倒壊などの被害が多数発生し、交通やライフラインが広範囲に渡って途絶し、これによって地域全体の日常生活や業務環境が破壊された状態になるような災害。特定非常災害特別措置法に基づいて指定される。

〔補説〕特定非常災害一覧

平成7年(1995)阪神・淡路大震災

平成16年(2004)新潟県中越地震

平成23年(2011)東日本大震災

平成28年(2016)熊本地震

平成30年(2018)七月豪雨

令和元年(2019)東日本台風

 

デジタル大辞泉

 

著しく異常で激甚な非常災害のこと。「多数の死者・行方不明者・負債者・避難者などの発生」「多数の住宅倒壊」「交通やライフラインの広範囲にわたる途絶」「地域全体の日常業務や業務環境の破壊」などの条件を満たした災害が該当 する。特別非常災害の被害者の権利利益の保全を図るための特別措置に関する法律(特定非常災害特別措置法)に基づくもので、指定されると運転免許証の有効期限などの延長措置、法令上の義務を履行できない場合の免責措置など、被災者を救済するための特例が適用される。

 

(知恵蔵mini)

 

激甚災害」という言葉は聞いたような気がするので、激甚災害>特定非常災害かと思っていたのですが、特定非常災害というのは最大級の災害に適用してきたものだったようです。

 

と、ここまで下書きを書いていたら7月8日付のニュースで「調査の結果、激甚災害に指定する見通し」という内閣府の発表が伝えられました。

特定非常災害=激甚災害ということなのかと思ったら、さらに7月9日の「岐阜 長野も『激甚災害』『特定非常災害』の指定検討官房長官」(NHK NEWS WEB)を読むと、対象が別のようでした。

大雨で一時特別警報が出た岐阜県と長野県について、菅官房長官は、午前の記者会見で、復旧にかかる費用を政府が支援する「激甚災害」と、被災者の生活再建のため行政上の特別措置を運用する「特定非常災害」への指定に向け、検討を進めていることを明らかにしました。

 

 

「自分の中の災害史を正確な年表にする」ことと、災害が起きたあとどう生活するか、過去の経験から自分で学んでいかなければいけないと、こうした法律上の言葉ひとつからも思いました。

ニュースで耳にしていても、聞き流してしまっていました。

 

 

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