10月1日の6時過ぎ頃、買い物をして家へ向かう途中、東の方向に大きな月が見えました。
思わず立ち止まって眺めてしまうほど、ひきこまれるような月でした。
どこからか今年初めての金木犀の香りが漂ってきました。
この日が中秋の名月だったと、ニュースで知りました。
子どもの頃は毎年、楽しみにしていたお月見ですが、いまではすっかりいつなのか、旧暦とはなんなのかとかあやふやなままに過ごしています。
中秋の名月で検索したら、国立天文台のサイトに「名月が満月とは限らない」と書かれていて、改めてそうなんだと知ったぐらい疎い話題になってしまいました。
私が高校生だった頃まで、お月見の日には必ずお月見団子を作り、ススキや秋の草花を野原からとってきて花瓶にさしていました。
家の中の電気を消しても月の光が明るく、しばらく静かに月を眺めていました。
その地域ではまだ当時は外灯も少なく周囲は田畑が多かったので、月や星が夕方に輝き始めるのをただ眺めるという今思えば贅沢な時間はいつでもありましたが、中秋の名月は格別でした。
山のように積まれたお月見団子の向こうに明るい世界が広がっている。
何かワクワクと希望を持たせるような光景でした。
半世紀前の我が家では上新粉とか白玉粉が常備されていて、こういう時に米粉を使ったお菓子を家で作っていました。
お月見団子は上新粉とすぐに思い浮かぶぐらいです。
1970年代にはすでにスーパーマーケットでいつでもお菓子も変える時代に変化していく中で、まだお月見団子は手作りでした。
いまでは作り方も検索しなければわかりません。
お月見も、お月見団子も遠い世界になってしまいました。
せめて家に帰ったら、家の中の明かりを消してしばし月の明かりを楽しもうと思ったのに、家に着いたらすっかり忘れていたのでした。
なんだかいつも何かに追われているような、せわしない時代になったものです。
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