事実とは何か 94 最終的に専門家と協議した内容の報道を

9月6日付の「新型コロナ 療養期間短縮へ 症状ありは7日間 無症状5日間に」(NHK NEWS WEB)を読みました。

どういう理由からこの短縮が決定されたのだろうと、この記事からはわかりません。

 

特効薬ができたわけでもないし、小児から成人までのワクチンの接種率が格段に上がったわけでもないのに「大丈夫」という根拠はなんだろう、これまでの10日間は体内にウィルスが残る期間を突き止めた結果の対応だったと認識していましたが、それも変わったのでしょうか。

 

周囲にも感染する人が増えてきましたが、いつから職場復帰するかという現実問題に「症状あり」と「無症状」ははっきり線引きはできないことも多いのではないでしょうか。

 

ウイルスが変異する可能性や、これからインフルエンザの流行も心配されているのにと腑に落ちない記事でした。

 

 

この記事にこう書かれていました。

政府は今後、専門家による議論などを経たうえで、こうした方針を正式に決めることにしています。

 

医療の専門家は蚊帳の外で、決定していないのに先に結論を出した感じでしょうか。

 

 

*「国は緩和に伴う感染リスクの説明を」*

 

その2日後に、「ああ、やっぱり」という報道がありました。

 

「政府 新型コロナ対策めぐり 療養期間の短縮など決定」(2022年9月8日、NHK NEWS WEB)

基本的決定対処方針分科会の尾身茂会長は8日の会合のあと取材に応じ、感染者の療養期間を短縮する政府の方針について、おおむね了承したと述べました。

 

そのうえで、「社会経済を再開させたいというのは多くの人の考えで、方針について了承はしたが、療養期間の短縮など一連の緩和には、それに伴うリスクがあるということをしっかり一般の人たちに分かってもらうため、国が明確なメッセージを出さないといけないという意見が多くの委員からもあった。一般の人たちには国が療養期間を短縮したからといって、期間を過ぎればすっかり安全だという風には思わず、感染させるリスクが残っているということを分かってもらって、ウイルスが排除されるまで高齢者との接触に注意するなど、慎重な行動をとってもらう必要がある」と述べました。

 

さらに、「これから冬の時期にかけてインフルエンザの流行も予想されている。コロナとの同時流行が起き、感染レベルがかなり高いものになるおそれがあるという想定が複数の委員から示された。感染が減少してきたこの時期に、第8波に備えてしっかりリスク評価を行い、分科会を開いて、とるべき対策について議論をする必要がある」と指摘しました。

 

また、尾身会長は、政府が打ち出す一連の緩和策や対策を示す際に、専門家との間のコミュニケーションが希薄になっていたとしたうえで、「政府も政策を早く示す必要があることは理解するが、専門家からはもう少し議論してから政策を決めてほしいという意見があった。第8波に向けて厚生労働省の専門家会合でリスク評価を行い、そのうえで早期に分科会を開いて、とるべき対策を公に議論することを政府には求めたい」と述べました。

(強調は引用者による)

 

ほんの2~3週間前は「救急車も出払っている、入院先が見つからない」という報道に溢れていたのですが、秋がくればすぐに冬の感染症脳卒中や心疾患など冬の疾患の季節になるのに、それに対して政府はどのような対応を準備しているのでしょうか。

 

こういう非常時には、専門家の分析と判断をもとに協議・決定した対応内容だけを報道してほしいものです。

「短縮しても大丈夫」「対応を緩和して大丈夫」という油断は禁物。

何度も経験したはずなのですけれど。

 

もしかして「もう非常事態ではない」と思いたい人が政府の中に増えたのでしょうか。

 

 

*追記*

ちょうど1年前は「自粛疲れ」なんて雰囲気が広がっていたようです。記録は大事ですね。

 

 

 

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