念願の明治用水取水堰を見ることができました。
ここからは1.5kmほど矢作川沿いを歩いて、トヨタ記念病院を目指しました。
しばらく水源公園が矢作川沿いに続いたあとは、少し人気(ひとけ)のない道が川沿いに続きます。竹やぶが川沿いに植えられていて、ときどき、矢作川の真っ青な水面が見え隠れしています。午後3時過ぎになり少し風が出てきました。川風を避けるための竹やぶでしょうか。
しばらく川沿いを歩くと、トヨタ記念病院へと向かう、見上げるような坂道がありました。
下を向いてなんとか歩ききりました。
さらにもう少し高い場所に、病院の建物が見えてきました。地図では矢作川のすぐそばに見えた場所ですが、崖の上のようなところでした。
ここを目指したのは、その日に宿泊する豊田市駅まで矢作川左岸を通るバスが病院前から出るので、それに乗って風景を見てみたかったことと、10年ほど前に岡崎からの搬送先として耳にしていたので、どんな場所にあるのだろうと思っていたからでした。
そのバスで川沿いの地域を回ると、どこからでもよく見える場所に病院がありました。
*表示物がない、雑然としたものがない*
行く前まではトヨタの本社もあるくらいですから、あちこちに「TOYOTA」を見かけるだろうと思っていました。
1980年代半ば、住んでいた東南アジアやアフリカで「TOYOTA」を見かけたように。
三河豊田駅を降りてまず気づいたのが、街の中に看板どころか、建物のどこにも「トヨタ」とか「TOYOTA」を見かけなかったことでした。
本社ビルにさえないのです。近づいて、ようやく小さく「トヨタ記念会館」の表示を見つけました。
同じく、トヨタ記念病院も屋上に建物と同じ色彩で名称が書かれているくらいで、ほかには病院名や診療内容が書かれた掲示物も外に見かけませんでした。
バスが会社の独身寮らしき建物の前を通過したのですが、ここも建物名さえありません。
どのベランダも、物も洗濯物も一つも置かれていません。
ふとトヨタ生産方式という言葉が思い浮かんだのですが、どうなのでしょうか。
関連した場所だけだろうと思っていたら、矢作川左岸の山を造成した比較的新しい住宅街を回って、さらに驚きました。
どの家も庭がすっきりして、清掃が行き届いています。
よく見かけるような園芸用品とか子どものおもちゃとかが散乱している庭が、一つもありませんでした。
新築から数年ぐらいは、家の周りもきれいにすることが楽しい時期もあると思いますが、20年ぐらいはたっていそうな住宅街です。
道路沿いの植木や草木まで、誰かの手によって整備されていることがわかります。
何より、道路に面してゴミ置場がなく、そして風で飛ばされたり放置されたゴミが一つもないのでした。
ほんとうに、大げさでなく、ひとつも。
まあ、この辺りの住宅街も会社関連かもしれないしと思っていると、商店街も同じです。
店舗の前が整然としていて、どのお店も何かを雑然と置いておくことがない風景でした。
どうしたらこんなにきれいな街を維持できるのだろうと、車窓の風景に圧倒されているうちに、水田が見え、豊田スタジアムの前を通って矢作川を渡り、豊田市駅前に到着したのでした。
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