九州地方の6月は雨が多くなるので、行く直前まで天気予報を何度も確認しながら計画を立てていたのですが、曇りや雨の予報でした。陽射しが強いよりは散歩向きです。大雨にだけはならないようにと祈りました。
なんと3日間とも曇りどころか行くところ行くところ晴れていて、しかも30度を越えていました。
長崎本線神埼(かんざき)駅に降りた時、まるで夏の陽射しでした。
田植え直後の水田が青空に美しく映えて、夢に見たクリークをこれから歩くのだという喜びと、この暑さで歩けるだろうかという不安がありましたが、エイっと歩き始めました。
目指すのは、横武クリーク公園です。
地図で眺めていて見つけました。駅から1.5kmくらいのところにあります。
周辺にはクリークが残った集落と水田が広がっているようです。姉川城跡をまわって、伊賀屋駅まで歩く予定でした。
公園まで20分ぐらいだろうと思っていたのですが、歩けど歩けど近づきません。もしかしたらパソコンのマップの距離は間違っているのではないかとか、暑さで少し弱気になってきました。
なんとか気力を保てたのは、次第に周囲にクリークの複雑な風景が増えてきたからでした。
途中の城原川の橋のたもとに「神埼宿」の表示がありましたが、ここは江戸時代に、小倉〜長崎57里(228km)を結ぶ長崎街道だったそうです。
江戸時代はもっと悪路だったでしょうから、ほんと、昔の人は健脚だったのですね。
車がひっきりなしに通る幹線道路ですが、誰も歩く人は見かけませんでした。
*横武クリーク公園は遠かった*
少し先に公園の森が見え始めたのですが、iPhoneのGPSをオンにしながら歩いても、どの道を行ったら良いのかよくわかりません。
道のように描かれているのは細い農道で行き止まりだったり、目の前にある公園に入るには、さらに迂回して歩かなければならなさそうです。
ここで力が尽きました。バス停はあっても、運行間隔があるのでしばらく来ません。
熱中症になる前に開いているお店に入った方が良さそうと思ったところで、ちょうど食堂があり飛び込みました。
食べて元気になったところで、歩き始めました。
広々とした水田に植えたばかりの苗と真っ白なサギ、そしてどこからともなく聞こえる水の音。そしてところどころ屈曲した不思議な水路があります。
ようやく、横武クリーク公園に入る道の前にきました。
ところが入り口は反対側のようですし、中を歩いたら小一時間かかりそうで、予定していた列車には間に合いそうにありません。
残念でしたが、そのまま伊賀屋駅の方へと向かいました。
でも途中の上六丁の集落は、まさにクリークを中心にした家が並び、その中を歩いただけでも十分です。
倉敷の干拓地とは水路が全く異なるのですが、なんだか祖父母の家の周囲を歩いているような懐かしい気持ちになりました。
時々、長崎本線の特急かもめが水田地帯を通過していきます。そのかっこいい車体は白と黒の2種類があるようですが、なんだか水田や水路にいるサギやカモと同じ生きている鳥に見えてきたのは、暑さで朦朧としてきたからでしょうか。
5分ほど乗ると、次は佐賀駅です。
たしか友人の家も佐賀市内だったのに、水田の記憶しかなかった40年前と同じ風景なのかもしれません。
この風景を見たかったのでした。
それにしてもあれだけ周到に何度も地図を見て計画したのに、どこで距離感が狂ったのでしょうか。
沿岸の干潟よか公園まで自転車で行こうというのも計画にあったのですが、無理な話です。
地図を眺めているとどうしても気が大きくなって、あちこち歩いて行けそうになるので危ないですね。
午後の計画は無理せずに行こうと、佐賀駅へ向かいました。
今日のタイトルは壮大ですが、クリークはあまりにも広く、ほとんど計画を断念した記録です。
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