三沢川の源流である黒川とその周囲の風景を見ることができて満足し、もう一度黒川駅へ戻りました。そこからは山と山の間に高架橋で繋がっている小田急多摩線の南側の山へと上り坂を歩き、三沢川と鶴見川の支流の分水嶺のような場所を目指しました。
黒川駅に着いた時にもその坂道は45度くらいありそうな傾斜地に見えて、その高い場所に配水場のような場所がありました。Wikipediaの黒川上地区によれば、川崎市水道局黒川高区配水池のようです。
昭和60年に配置された、潮見台浄水場(宮前区潮見台)で浄化された水道水を汲み上げて各世帯へ配水するための施設。当地域が市内でも随一の標高であることから、黒川配水所よりも高い地域へ配水するために設けられた。
息を切らせながら切り通しと思われる道を上ると雑木林の中にその配水場があり、今度は下り坂になり「仲谷戸」バス停がありました。
斜面の畑にブロッコリーが植えられ、水仙が咲き、コブシの蕾が硬く出始めています。これから冬に向かう12月下旬ですが、春のような場所でした。
その畑の辺りから一気に下り坂になり、左手の斜面に霊園がありました。これが小田急多摩線の車窓から見えていた墓地の反対側でした。
そばに川もなく高台のように見える場所に、「この付近の洪水による想定浸水深 0m」という避難警告の表示がありました。
今まで数々の川のそばを歩いて「想定浸水深」を目にしましたが、「0m」は初めてです。
あの立川段丘の上にあるのに、残堀川が氾濫すると浸水0.5mの可能性がある郷地町に状況が似ているのでしょうか。
もう少し下ると、その霊園のそばから水の流れていない水路があり、道の反対側には大雨に備えた「栗木調整池」がありました。この雨水貯水槽が稼働するような雨の降り方が想像できない、穏やかな場所でした。
しばらくすると、お寺の横から突如として川幅のある水路が始まり、遊歩道がありました。
のぞき込むと暗渠になっていて、けっこうな水量の川でした。
右手は小高い雑木林や竹藪、左手は住宅街が細長く続き、そのさらに北側には小田急多摩線が少し高い場所を走っています。
川はあちこちからの水を合わせながらさらに水量が増えていますが、ゴミもなく水がきれいでした。
鶴川街道から分かれた道はしだいに交通量が多くなり、柿生駅に近づいてきました。
北側からのもう一本の川と合流する手前の柿生小学校の前に、小さな堰と水門がありました。
防災用河川施設
この施設は火災時の初期消火に河川水を活用するためのものです
そして小学校の地下には、やはり大雨の際の雨水貯水槽があるようです。
黒川駅から1時間半ほどの散歩でしたが、なんだかこの半世紀ほどの「治水」「利水」に圧倒されました。
*鶴見川水系 準用河川 片平川*
さて、三沢川の源流からの流れは「黒川」だとわかりましたが、分水嶺を超えて鶴見川に流れるこの支流の川の名前がiPhoneのマップにも載っていませんでした。
散歩の途中で、「鶴見川水系 準用河川 片平川」と表示がありました。
「準用河川」、聞いたことはあるけれどわからない河川の用語が出てきました。
国土交通省の「これだけはぜひ!河川管理の基礎知識」に説明があり、「準用河川」というのは、二級河川の中でも市町村が管理する川で、それ以外に「普通河川」という分類もあるようです。具体的には市町村にどんな責任や権限がある川なのでしょう。
またわからないことが増えていきました。
小田急小田原線に乗って柿生駅を通過する時にいつも見えていた川は、川崎市のHPによると「準用河川 麻生川」で、この片平川を合流して流れていくようです。
こんなに複雑な水の流れを、気象の変化や流域の社会の変化に合わせて管理していくのですからほんとうにすごい仕事ですね。
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