散歩をする 415 佐原を流れる小野川の右岸を歩く

今回の散歩の2日目、まだ暗いうちから南側の山側を眺めていました。6時過ぎにようやく山の端が薄明るくなってきました。

テレビでは富山県高岡市の大仏が映っていました。「懐かしいなあ、あの少し先から下り坂になって高岡城がある」と実際に歩いた場所の地形や雰囲気が一瞬にして蘇ってきますね。

 

7時45分、駐車場の車の窓がバリバリに凍っている中ホテルを出ました。

佐原市というと成田線の南側の「小野川沿いの歴史的街並み」が有名な場所ですが、まず北側へ向かいました。

 

地図では香取市民体育館の南側から小野川へ向かって幅20mぐらいの区画があります。なんとなく気になる場所でそこから歩き始めて小野川を渡り、県道16号線の南側にある「イ」という番地のおそらく水田地帯だろうと思う場所が最初の目的地でした。

 

*旧佐原港*

 

昨日、駅前で見た「佐原駅周辺案内」で、香取市民体育館のあたりは「昭和28年完成 旧佐原港」であること、幅20mぐらいの場所は水路であったことがわかりました。

その場所を目指すと住所は「佐原イ」で現在は下水道施設があり、「香取市船橋ポンプ場水処理設備工事」の表示がありました。

 

Wikipedia小野川に経緯が書かれていました。

利根川の支流である小野川は、江戸期より水運の集散地として佐原の町を発展させた。農業用水としても古くから利用され、香取市牧野地先に堰を作り、樋橋を介して市内関戸方面や本宿耕地方面に水を引いていた。1951年(昭和26年)に国鉄佐原駅北側に小野川から掘り込み式の佐原港が完成したが、船の需要がなくなったため1970年(昭和45年)に埋め立てられた。

こちらの完成年度は「昭和26年」になっていますが、いずれにしてもわずか20年ほどで埋め立てられたようで、1970年代というのはなにかと驚異的に変化する時代でした。

 

 

*魚市場から本宿耕地へ*

 

下水道施設の先が旧入船橋で、小野川のそばに公園が整備されていました。その端に「千葉県利根川治水百年記念行事実行委員会 平成十二年十月」と書かれた小さな表示がありました。

 

この辺りも昔の街の風景の面影があるような場所で、凍てつく真冬の早朝ですが散歩をする姿がありました。

新川橋を渡って静かな街の中を歩くと、地図に載っていた「魚市場」がありました。住宅街の中にある倉庫という感じですが、現役の魚市場でしょうか。

 

その先から細い路地になり、右手に水田地帯が開けてきました。

霜で枯れ草が真っ白です。

佐原では南側に山があるためか、途中で少し方向感覚がおかしくなりました。

 

県道16号線の反対側に、「佐原駅周辺案内」で「本宿耕地」と書かれていた水色の広い場所が見えてきました。

国道356号線とJR成田線の線路に挟まれた場所が広い水田地帯で、少し先の堤防のあたりに大きな水門が見えます。

まっすぐな水路が縦に横に通っていて、農道では朝の散歩の方々とすれ違いました。

一面茶色ですが、どこからともなく稲の香りがしてきます。

 

*小野川放水路へ*

 

ここから成田線の踏切を渡って、今度は南側へ向かいました。

地図では県立佐原病院の近くで小野川の水色が広くなり、分岐しているような場所があります。左側の細い水色の線が蛇行しながら街の中心へと流れて、「小野川沿いの歴史的街並み」へと流れ、右側の太い水色の線は暗渠になっているのか途中で消えています。

分岐点の周辺には複雑な水色の網目のような場所が描かれていて、広い湿地が遊水池になっているように見えます。

ここを見てみたいと思っていました。

 

踏切を渡ると、そこは昔からの大きな農家の落ち着いた街並みと神社がありました。

細い路地を歩いていると、途中の辻に小さな鳥居があり近づいてみると木の下に「青面金剛」と彫られた石碑がありました。その向こうは畑です。

蛇行した道をそのまま南へ向かうと、また鳥居があり今度はきつね様が祀られています。

静かな街です。

 

県道に出ると、今後は左手に大きな石の鳥居が見えました。どうやら香取神社への参道が県道になっているようです。

 

県道を渡ると開渠の水路になり、その先には水田地帯がひらけてきました。よくよくみると水路の水は小野川とは逆の流れです。どこから取水してどこへと向かう水路でしょうか。残念ながら「佐原駅周辺地図」で確認しても、わかりませんでした。

 

県立佐原高等学校の横の水田地帯をまっすぐ歩くと佐原病院が見えて、その前に広い公園がありました。葦が茂っているのでやはり湿地が広がっているようです。

 

「小野川放水路」の説明板がありました。

大雨がふった時の小野川

 

大雨がふった時には、せいすいもんがしまり、小野川の下流の市街地へは水が流れません。

転倒堰がたおれて、小野川の洪水は、小野川放水路を通って利根川へながれていきます。

 

市街地への分岐点に「制水門(全閉)」があり、右岸側には「沈砂地」「転倒堰(倒伏)と描かれていますが、ただの葦のしげる湿地ではない仕組みがあるようです。

そして暗渠の放水路が利根川へとつながっていて、本宿耕地から見えた大きな水門が

「利根樋門」であることがわかりました。

 

実際に歩いてみて、Wikipediaの小野川の「地理」が理解できました。

千葉県香取市織幡付近に源を発し北西へ流れる。

香取市牧野で香西川を合わせ、佐原市街地を北上し、香取市佐原で利根川に合流する。佐原市街地では大雨時にたびたび冠水し被害をもたらしたことから、小野川放水路が市街地を迂回するように造られている。

 

小野川は香取市佐原の市街地を二分して流れる。

その右岸(東)を本宿、左岸(西)を新宿と呼び、祭礼行事(佐原の大祭)は別々に行われているなど、市街地内の地区区分上大きな役割がある。

 

ここまでわずか1時間ほどの散歩でしたが、期せずして「本宿」側を歩いていたようです。

 

 

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