徳島駅のある場所は島のように川に囲まれていて放射状に水色が描かれていることが気になって、ぐるりと一周してみたいと思っていましたが散歩の2日目は体力の限界になりやめました。
遠出の3日目の朝というのは疲れが溜まって計画していたこともやめようかと気持ちが揺れるのですが、地図をみていたらやはり気になっていた場所を訪ねてみようと思い7時過ぎにチェックアウトしました。
南西へと向かって歩くと、「ぶら〜りまち散歩」という地図が川のそばにありました。
ぐるりと囲んでいる川の南側は「新町川」で、川沿いの公園は「阿波製紙水際公園」だとわかりました。
両国橋を渡ると紺屋町で、その向こうに山が近づいてきました。低い山ですがその山裾に湧水があるようです。染め物には綺麗な水が必要なので紺屋町が発達したのでしょうか。
朝早い静かな商店街を抜けると小さな水路のある遊歩道になりました。あえて水路を蛇行させて、石や樹木がなんともおしゃれに配置されています。その遊歩道が途切れると、瓦ののった白壁に囲まれた中はなんと小学校の屋外プールで、これもまたおしゃれですね。龍野小学校水練場に似ています。
1993年(平成5)に整備された遊歩道のようです。わずか30年ほど前ですが、当時は豊かに整備されていく社会に夢や希望があったことを思い出しました。
*瑞厳寺の鳳翔水*
山裾にある小学校より奥まったところに山門があり、慶長9年に創建された瑞厳寺と沿革が書かれていました。
鶯が鳴き、どこからか静かに水音が聞こえてきました。
葉っぱや砂利を踏む音さえ響くような静寂で、くしゃみをするのも憚られます。
水音の方向へと小さな水の流れをたどっていくと、竹筒から水が出ている場所がありました。
姫観音由来
古代からのすべての女性の霊を御供養することによって現世に生きる女性達が幸せになるようにこの願いを込めて建立しました。
水に気を取られていたので、姫観音がどこにあるのか見逃してしまいました。
水源はもう少し山の中のようですが、ここで引き返して水の流れをたどると、なんと小さな流れは鐘付堂の屋根の下を流れていました。
不思議なお寺ですね。
*錦竜水へ*
しばらく山裾を歩くとロープウエイ乗り場に出て、そこからは寺町の中を歩きました。
さまざまなお寺が立ち並んでいます。
吉野川右岸、徳島駅のほど近い山裾にこんなに静かな寺町があることを知りました。
角を曲がると、小さな祠のような場所が見えました。
錦竜水
この眉山のふもとの湧き水を錦竜水(きんりゅうすい)と言います。
徳島には、この錦竜水のほか、東山手町の瑞厳寺の鳳翔水(ほうしょうすい)、西富田の八幡神社の八幡水などの湧き水があります。
江戸時代の徳島城下の人々は、これらの眉山の湧き水を買って飲み水としていました。特に歴代の阿波藩主は、この錦竜水を愛用し、水番所を置いて保護しました。今も、錦竜水は、歴史的名水として多くの市民に親しまれています。
石の水盤に水は溜まっていましたが、水は流れていませんでした。
また寺町の中を歩き始めると、山からの小さな水の流れる音が聞こえてきました。
ほとんどのお寺が、誰でもいつでも入れるかのように早朝でも門が開かれています。
寺町の北の外れにある三島神社を訪ると見上げるような石段で、上った境内から市内を見ることができました。
1時間15分ほどの散歩でしたが、地図で見つけた鳳翔水と錦竜水を訪ね、水の豊かな静かな街並みを見ることができました。
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