散歩をする 503 三輪山と山々を眺めながら大和川を歩く

1月中旬、6時35分ごろに少しずつ山の端が明るくなり始め、数分で一気に明るくなって日が昇り始めました。

ちょうど大和川が山あいから流れ出てくるあたりです。いにしえの人たちもまた、三輪山大和川の流れ、そして日の出を心があらわれるような思いで眺めていたことでしょう。

 

2022年の晩秋の季節に万葉まほろば線沿いの山の辺の道と古墳を訪ね、大神(おおみわ)神社まで美しい水田や落ち着いた街を歩きました。その時に三輪山そのものを身体山としていることと、その神社の始まりを知りました。

いつかもう一度、この地域を歩いてみたいと思っていました。

 

いつもは距離感を間違えて歩けもしない計画を立ててしまうのですが、何度か奈良を歩くうちに案外と奈良盆地はこぢんまりとして歩ける距離だとわかりました。

 

それなら奈良盆地を南東から北西へと斜めに流れる大和川をいつか歩いてみたいと思っていました。

今回はどこまで歩けるでしょうか。

 

 

大和川へ*

 

8時半にホテルを出て、大和川の堤防沿いの道を目指しました。

小雪がちらついてきましたが、予報では晴れのはずです。

 

桜井駅周辺は車窓からは現代的な街の印象でしたが、少し離れるだけでうだつのある家並みが残っていたり、真冬だというのに水量の多い水路があります。たどると、三輪から大和朝倉駅まで歩いた時に見たいくつかの取水堰や水路とつながりました。

このあたりもかつては水田地帯だったのでしょう。

 

美しい水路沿いに歩くと極楽寺の横に出て、県道の高架橋の下をくぐると大和川の堤防が見えてきました。灰色の屋根瓦が美しい古い落ち着いた街が残り、対岸の大鳥居が見えました。

 

堤防の道を、大和川を眺めながらただただ歩きます。

青空が見えてきたので、水面も灰色から青く映え始めました。

振り返ると三輪山が見え、大鳥居が見えます。前方には天香山と耳成山が見えました。

 

堤防にはサイクリングロードがあり「法隆寺」方面への表示がありました。ただひたすら大和川沿いに行けば、美しい水田地帯の広がる法隆寺のあたりにたどりつきます。

 

途中、大和川からの取水堰があり、大泉井堰樋管記念碑と彫られた石碑が建っていました。どんな歴史があるのだろうと気になりました。いったん大和川から離れてこの水路沿いに歩くと、1970年代ごろの住宅地でしょうか、その間を縫って流れる先にまた水田地帯が広がりしばらく歩くと、また大和川から取水された別の水路と並列して流れ、その先に分水路がありました。

それほど水量が多くなさそうな大和川から、何本もの水路が複雑に左岸側の水田地帯を潤しているようです。

後ろを振り返っても、さすがに大神神社の大きな鳥居が見えなくなりました。

 

古い屋敷と竹藪の間に水路が流れ、水路の中に白鷺がたたずんでいました。驚かさないようにそっと歩いたのですが、飛び立ってしまいました。

白鷺や青鷺は田畑の近くで人間と共存しているようでも、やはり警戒されているようです。

 

天満宮のそばからまた大和川沿いへと戻りました。

ゆったりと、ゆるやかに蛇行しながら流れる大和川の向こうに遠く生駒山が見えました。

ほんと奈良盆地というのは周囲の山々が近く、そしてさえぎる建物も少ないので空が大きく広く感じますね。

 

ちょっと歩き疲れた頃に、市杵島(いちきしま)神社のそばの川沿いに東屋がありました。

大和川(初瀬川)くつろぎの空間

 大和川(初瀬川)は、古来より私達に水を湛えた歴史ある河川で、未来に続く大切な場所です。みんなでルールを守って楽しく利用しましょう。

 

東屋の中のベンチに座って、しばらく川面を眺め静寂な時間を過ごしました。

青空に白い雲が流れていきます。ここからは遠く若草山が見えました。

本当にダイナミックな奈良盆地の風景ですね。

 

大和川はこの少し先でほぼ直角に西へと流れを変えるようですが、「大西」という地名と関係があるのでしょうか。市杵島神社のそばのこの集落を歩いてみたくなりました。古い街並みも残り、家々の木の香りでしょうか、良い香りがします。

 

また大和川沿いに出て、たくさんの白鷺がいる場所に堰があり、その先の水が少なくなりました。

あちこちで大和川の水が水田へと向かうようです。

 

ただただ水田の続く先に大きな鎮守の森が見えてきました。

今回の大和川沿いの散歩はあのあたりまでの予定です。

「村屋坐彌冨都比賣神社(むらやまにいますふつひめじんじゃ)」、読めないまま訪ねました。

 

鬱蒼とした境内は人影もなく静かです。

参拝したその時に、緊急地震速報の有線放送が聞こえてきました。

わあ、誰もいないこの場所で客死したらと少し動揺しながらあたりを見ると、何か作業をしている人の姿がありましたが驚く様子もありません。

しばらくすると、近くの小学校から防災訓練の放送が聞こえてきたのでした。

ああ、びっくり。

 

なんとか無事にここまで歩けたという安堵感もひとしおです。

おおむね奈良盆地大和川の3分の1ぐらいを歩いたでしょうか。

 

ここからは大和川左岸の広大な水田地帯をまっすぐ西へ歩き、田原本町駅の方へ向かいます。

 

 

 

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