びわ

この季節、存在感があるのがびわの実です。
あちこちの庭にびわの美がたわわに実っていて、淡い橙色が鮮やかできれいですね。


でも本当は果実の美しさよりも、「あーーーもったいない。あの家の人は誰も取って食べないのかな」という無念の思いのほうが強いのですが。


店先に並ぶびわは数個で500〜600円と、最近は高級果物です。
食べたいと思っても、あまりの値段にやはり手が出ずに通り過ぎる毎日です。
以前はもう少し庶民的な果物で、初夏になると買って食べていたような気がするのですが記憶があいまいです。


十数年前に泊まらせてもらった知人の家で、山ほどのびわを食べさせてもらったことがあります。
兼業農家の彼女の家の敷地内には何本かびわが植えられていて、ちょうどこの季節に訪ねたのでした。
とってもとっても、庭のびわは減る様子がないほどでした。


蒸し暑さで食欲が落ち始めるこの時期に、淡白な味のびわは元気をくれる果物だと思います。
一晩で何十個ものびわを食べた最高に贅沢な夜だったと、今もびわを見るたびに思い出します。


そういえば、実のなる季節以外でも「これはびわの木」とわかるほど身近にあるのですが、案外、びわの花というのは存在感がないですね。
Wikipediaびわに花の写真が載っていますが、これをみて「そうだ、こんな花を毎年みているなあ」と思うくらい印象が薄いものです。


「植物学的特徴」に「花期は11月〜2月。白い地味な花をつける」とあります。一番寒くて花が少ない季節なのに、地味に花を咲かせて、この実をつけるために準備していたのですね。
来年は、花も愛でるようにしたいものです。


Wikipediaの「植物学的特徴」には「若干の耐寒性を持ち、寒冷地でも冬場の気温−10℃程度であれば、生育・結実可能である」とありますが、果物ナビびわの説明には、「千葉より北では本格的な栽培は行われていません」とあります。


長崎、鹿児島、愛媛、千葉など温暖な地域が主な産地のようですから、関東で流通するにはやはり値段が高くなってしまうのでしょうか。


千葉県のHPの「教えてちばのめぐみ」びわの栽培の大変さが書かれていました。

びわ栽培は寒さとの戦い>
栽培者の苦労は多く、作業能率はわるくても気温の下がりにくい傾斜地を選んで栽培したり、寒波の襲来する頃には、ストーブを焚いて果実を守ります。

びわは一果一果、手作業で袋がけ>
びわは、果実が小さい頃には生産者がひとつひとつ袋をかけて大切に育てます。なぜなら、「害虫」や強い日差しによる「しみ・そばかす」などから果実を守るためです。

びわの栽培は、急傾斜地での作業>
「花摘み」「袋がけ」「収穫」と急傾で樹に登る作業が3度もあるため、大変労力がかかります。


なるほど、これなら一粒百数十円もしかたがないかもしれませんね。
また収穫後、保存もできないので、安く安定した流通というのは難しいのでしょうか。


友人は関西の温暖な地域だったので、平地の庭にそれほど大きくないびわの木が植わっていて、ほとんど放置した状態で結実していました。


うちの近くでみるびわの実を見るたびに、「あの美を売れば数万円ぐらいになりそう」とちょっと品のないことを考えてしまうのですが、あまり美味しくないので放置されているのでしょうか。



もしそこそこ食べられるのであれば、「びわの実売ります」と玄関先で売ってくれないでしょうか。
あーーー、山のようなびわを食べたい!