木通

またまた呪文のようなタイトルですが、私自身、初めてあれをこう書くことを知りました。
あれとはこれです。


先日、録画しておいた「相葉マナブ」を観たところ、懐かしい木通についてでした。


小学生の頃、野生児で野山を駆け回っていた時の秋のおやつが木通でした。
ツルの先に紫色の実を見つけると、中の白い果肉を食べるのです。
ほんのりと甘い程度だった記憶しかないのですが、子どもにとっては貴重な食糧でした。
そして、自分で見つけて自分で収穫するという充実感も醍醐味のひとつだったのでしょう。


白い果実を食べ終わると、周りの皮はその辺にポイッと投げ捨てていました。
バナナの皮を捨てるように。


ところが、番組ではその木通の皮にひき肉を詰めて油で揚げる料理を紹介していました。
なんということでしょう、木通の皮も食べられるなんて初めて知りました。
クックパッドにも、「木通の皮と茄子の油炒め」とか「天ぷら」「味噌炒め」などが紹介されています。
ちょっとほろ苦さが美味しさのようですが、番組を見ながら想像するしかありません。


Wikipediaの「人間との関わり」には、知らなかったことが書かれていました。

種子を含む胎座が甘味を持つので、昔から山遊びをする子供の絶好のおやつとして親しまれてきた。果皮はほろ苦く、内部にひき肉を詰めて油で揚げたり刻んで味噌炒めにするなど、こちらは山菜料理として親しまれている。主に山形県では、農家で栽培され、スーパーで購入することができる。また、東北地方などでは、新芽(山形県新潟県などでは「木の芽」と呼ぶ)をやはり山菜として利用している。その他成熟した蔓は、籠を編むなどして工芸品の素材として利用される。また、秋田県では、種を油の原料としている。江戸時代から明治時代にかけては高級品として珍重され、明治以降生産が途絶えていたが、近年復活した。

皮や種も利用していたのですね。
種から油をとるには、どれだけの木通からどれだけとれるのでしょうか。


あの甘い白い部分は、「胎座」というのですね。
木通の実を生物学的な用語で説明すると、以下の通り。

受粉に成功した個々の雌しべは、成長して果実となり、10センチメートル前後まで成長する。9−10月に熟して淡紫色に色づく。成熟した果実の果皮は心皮の合着線で裂開し、甘い胎座とそこに埋もれた多数の黒い種子を裸出する。この胎座の部分は様々な鳥類や哺乳類に食べられて、種子散布に寄与する。


最近では、たまにですが、デパートで木通を見かけることがあります。
半世紀前は、木通というのは山に自生しているだけだと思っていました、現在では栽培されたものが流通しているようで、「山形県が現在全国生産量150tの大半を占めています」(丸果石川中央青果のサイトより)とありました。
受粉までの生活史も書かれていますが、ここまで観察されたからこそ、栽培も可能になったのでしょう。


2個で数百円ぐらいしたので、野生児のおやつ時代から考えると途方もない高級品ですが、木通の肉詰めを食べてみたくなりました。