数字のあれこれ 49 泳ぐ速度を予測する

NHKテレビ朝日の競泳の放送では「前半に○秒××で入ったので、後半は△秒◎で戻ってこれれば、日本記録更新が可能ですね」という解説者の説明を聞きながら観ることができます。

これが直接会場で見る醍醐味とは違った面白さです。

 

私には「今日は泳ぎがとても軽そうだ」「後半、失速している」ぐらいしか見えなかったのですが、最近は「このペースなら〇〇秒台かな」ぐらいは見えるようになってきました。

ところが解説の方々は、百分の一秒まで計算しながら、選手の泳ぎを観察して、そして結果を予測しているのですからすごいものです。

そして泳ぐ選手自身が、そういう百分の一秒までの数字を意識して泳ぎを再現しようとしているのですから、ただがむしゃらに頑張っていたり、興奮をバネに戦っているだけではない競技ですね。

 

まあ、数字に弱い私は、解説の中の小数点以下2桁までの数字を言われても、合計何秒になるのか足し算が追いつかなくて録画を見ているのですが。

 

昨日の200m男子平泳ぎ決勝の渡辺一平選手の泳ぎも、「これはすごい記録が出そう」という泳ぎに見えました。

前半から本人の持つ世界記録ペースで泳ぎ、会場に「世界記録更新」の音楽が流れるだろうと思っていたのですが、最後のほんの5mぐらいの泳ぎ方で更新がなりませんでした。

世界記録を出したあと、その自己ベストの更新どころか優勝からも遠ざかっていたので、自信を失いそうな状況だったのではないかと渡辺一平選手の気持ちを勝手に想像していたのですが、あとわずかというところまで再現できたことは次への自信になることでしょう。

 

そんな世界記録レベルの泳ぎでも、インタビューを見ると計算しながら泳いでいるのですから、競泳選手に必要なのは泳ぐ速度を予測する能力で、それは薬やサプリでは得られないものだということが痛いほどわかっているのが選手自身ではないかと思えるのです。

 

反ドーピング運動を率いている側は、「これをどれだけ飲めば、これだけ速く泳げる」という効果があるのであれば、その予測を数字で実証して欲しいものです。

 

 

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