水のあれこれ 106 吸水性

90年代ごろだったか、キッチンの水回りを拭くのに吸水性の良い薄いスポンジのようなものが日本に紹介され始めた記憶があります。たしかドイツ製でした。

早速購入してみたるとたしかに吸水性は良いのですが、キッチンというのは調味料やら食品やらいろいろな成分をふき取るので、洗って干すことを考えるとそれまでの布巾の方が使い勝手がよく、結局、私の中では却下されました。

 

その吸水性の良いスポンジのような布のような製品は、それ以降、どちらかというと車の整備や掃除用品の類として見かける程度でした。

 

*セームの広がり*

 

競泳を会場で観戦するようになって十数年以上になりました。

競技前に選手の名前がコールされて入場してくるのですが、テレビより会場で観るのはずっと迫力がありました。

2000年代初めの頃は、選手が所属する大学やチーム名が書かれた大きなバスタオルを持って入場していましたが、それからわずか2〜3年でその光景がぐっと減り、手に小さなタオルを持っての入場に変わり始めました。

 

水着売り場にもカラフルなセームが並ぶようになりました。

おそらく、アテネオリンピックあたりが競泳選手のタオルからセームへと大きく変化した時期ではないかと記憶しているのですが、さすがに検索してもわかりませんでした。

 

プールから上がると、パタパタと体に軽く叩きつけるようにするだけで水分が取れるようです。

 

選手の方々から遅れること数年、私もタオルからセームにしてみたところ、本当に吸水力が良くて驚きます。

タオルに比べて小さくまとめられるので、どこに行くにも水泳グッズを持ち歩きやすくなりました。

 

*セームとは何か*

 

このセームとは何かという説明が案外なくて、唯一まとまっているのははてなキーワードでした。

水泳などで使われる吸水性の高いタオル。

水分を吸った後に軽く搾ることですぐに吸水性が復活するため、体に付いた大量の水分を一気にふき取るのに最適である。

 SPEEDから出ている吸水性の高いスポンジ状の物と、 ARENAから出ているタオルの様な風合いの物の二種類が主流。

元々、機械のメンテナンスに使われるセーム(鹿革をなめしたもの)に近い風合いをナイロン等で合成した人工セームが車のメンテナンスに開発され、その吸水性に目をつけたスポーツ用品メーカーが人肌用に生地を改良してスイミング用品として発売したもの。

自動車用品よりも生地(発砲)が細かいため、洗車に使うと車体に張りついてしまうので流用は避けた方が良い。

自動車用品と違って、乾燥させると割れやすい為、保管時には水分を含んだ状態でケースに入れておくのがベター。

 

競泳選手と違って数日ぐらいプールに行けない時もあるので、私はその都度乾燥させていますが、乾くとほんとうにゴワゴワです。

私はその乾燥したセームを折って小さくするので多少ひび割れるのですが、そこから案外、切れてしまうこともなく長持ちしています。

 

セームが面白いのは、せっかく乾燥しているのに、使う時は水に浸すことです。

その湿らせたセームで体を拭くと、面白いほど水分が吸収されて、絞るとジャーっと水が出てくるのです。

単純なようでその吸水のしくみがよくわからず、これを発見した人はすごいなと感心しています。

 

 

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