水のあれこれ 129 川と鉄道

あちこちを散歩してみると、川や海のすぐそばを走っている鉄道が多いことを実感しました。

川沿いや海沿いの方が景色もいいしぐらいの認識だったのですが、実際に通って見ると海岸や川ぎりぎりをわずかの土地に這うように建設されている箇所がなんと多いことかと、驚いています。

 

最初は、川や海をぼっとながめたいと思って始めた遠出の散歩ですが、いつの間にか川と鉄道の関係を意識するようになりました。

 

今回の芸備線全線に乗る計画も、事前に地図で川の流れと線路をたどっていくだけでも、どうしてこの場所に鉄道が造られたのだろうと圧倒されました。

新見駅から三次駅まで、途中の備後落合駅での待ち時間をのぞくと約2時間半の区間だけでも、さまざまな川を超え、川に沿い、そして川と一旦離れてはまた近づくといった感じです。

 

たとえば、新見駅から備後落合駅までは、最初は高梁川の支流の西川沿いに走っているのですが、備中神代駅伯備線と別れるときに西川のさらに支流沿いへと向かいます。

広島県境付近の高梁川水系江の川水系との分水嶺を越えると、東城の手前から小さな成羽川が始まるのですが、この川は高梁川の支流で、また県境を超えて岡山県内へと流れます。

なんと複雑な川の流れだろうと思うとともに、なぜこのあたりに鉄道が敷かれたのだろうと、列車の後方の窓に顔をくっつけるようにながめていたのですが、とてもわかるものではありませんでした。

 

Wikipedia芸備線の「沿線概況」も川に沿った説明がされていました。

備中神代駅からは中国山地の谷を高梁川水系の神代川や成羽川に沿って走行する。野馳駅-東城駅間の大竹山トンネルで岡山県から広島県に入る。坂根駅-備後八幡駅小奴可駅周辺では、かつてたたら吹きが行われていた。道後山駅の少し手前で芸備線の最高所に達し、ここから日本海に注ぐ江の川の水系に入る。次の駅の備後落合駅との標高差は160mもあるため、蛇行しながら25‰の勾配を下っていく。途中で渡る小鳥原第一鉄橋は中国地方一高い橋である。備後落合駅比婆山駅とのあいだは5.6kmの間を徐行しつつ15分あまりかけて、木次線方面から下ってきた西城川の渓谷を進む。比婆山駅から田園地帯になっていくが、幾度か狭い谷合を走る。備後庄原駅付近で西城川から離れて、国兼川流域に入ると平地がだんだんひらけていき、馬洗川を渡って福塩線と合流して塩町駅から馬洗川の左岸を走行し、三次駅に到着する。

 

備後庄原駅で離れた西城川は、ぐんと北に大きく回りながら、三次市に流れ込みます。

馬洗川、そして南側から江の川が流れてこの西城川と合流して、あの三次市内の複雑な水色の箇所をつくっています。

 

なんともダイナミックな川の流れと、その地形の合間を鉄道が造られたのはどんな歴史なのだろう。

ただただ、圧倒されたのでした。

 

 

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