気持ちの問題 59 ヨシと葦

荒川放水路のヨシ再生事業を見た1週間ほど前に、偶然、別の場所でヨシを見ていました。

琵琶湖の大中干拓地にいく途中の広い水郷地帯に、背の高いヨシが育っている風景は美しいものでした。

そこを通過した時に、「ヨシと葦の違いはなんだったっけ?」と疑問に思いつつ、そして荒川放水路のヨシ再生事業について書いた時にも、その違いを知らないままにしていました。

 

ということで、まずはWikipediaヨシを読みました。

ヨシまたはアシ(葦、芦、蘆、葭、学名:Phragmites australis)は、イネ科ヨシ属の多年草。 

なんと、同じものだったのですね。それにしても、「アシ」の漢字が4種類もあったとは。

 

*縁起の良し悪しから変えられたものだった*

 

もう少し読んでいくと、こんな説明がありました。

日本語における原名 

和名ヨシの由来は、もともと本来の呼び名「アシ」であったものが「悪し」に通じるため、「ヨシ」に言い換えられたものである。

 

8世紀、日本で律令制が布かれて全国におよび、人命や土地の名前に縁起の良い漢字2字を用いる好字が一般化した。「アシ」についても「悪し」を想起させ連想させて縁起が悪いとし、「悪し」の反対の意味の「良し」に変え、葦原が吉原になるなどし、「ヨシ」となった。このような経緯のため、「アシ」「ヨシ」の呼び名の違いは地域により異なるのではなく、新旧の違いでしかない。現在も標準和名としては、ヨシが用いられる。

 

12世紀以上経て、私は「葦」と聞いて「悪し」と思ったことがなかったので、この理由に驚きましたが、でも名前の漢字にはまだまだその感覚はありますね。

1990年代に入って、赤ちゃんにちょっとびっくりな名前をつけたり、今までは名前に使うことがなかった漢字を見かけることが増えてきました。

名前を自由な発想でつける時代の変化だと受け止めつつも、やはり「その漢字はちょっと(縁起が・・・)」と思う自分もいますからね。

 

今年に入ってからの新型コロナウイルス感染拡大の状況を見ていると、もしかしたら16世紀に始まった近代医学がなければ、今もまだ、名前を変えてこの厄災をなんとかしようという時代が続いていたかもしれないと、ふとこのヨシとアシから思ったのでした。

 

8世紀に生きた人たちは、「アシ」からどんな悪いことを想起したのでしょうか。

 

 

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