自衛隊の活動記録を読むと、もしかしたらこの点を報道関係の方々がもう少し掘り下げてくださったら、つじつまのあわなさに翻弄されることが少なくなるのではないかと思える点がいくつかありました。
*マスクの供出と返還*
さすが自衛隊だと思ったのが、3月6日に「自衛隊が保有するマスク150万枚のうち100万枚を供出」することを決定し、しかも「3週間後には政府から100万枚を戻してもらう」という計画のもと、陸海空それぞれの部隊からマスクが集められています。
そして4月3日には「拠出した100万枚のマスクについては、昨日までに拠出したすべての部隊に到着した」となっています。
「ロジスティックス」という言葉が浮かんだのですが、兵站が日本語でした。
「兵站の要素」の説明にはこう書かれています。
「必要なものを」「必要な時に」「必要な量を」「必要な場所に」は、ロジスティックスの要諦であり兵站任務を円滑に遂行する作戦地域と兵站基地との交通上のつながりを維持するために数理的、物性的、情報的な処理が求められる。
2か月以上もマスクやトイレットペーパー不足に翻弄されている社会を見ると、もう少し緊急時の発想の転換が必要なのかもしれませんね。
もちろん消費者側にも。
*「感染経路不明」の指すものは何か*
ニュースでは「3連休の気の緩み」が「感染経路不明者の増加」の理由のように報道されていました。たしかに数でみると3月20日の全国の感染者数は1007名だったのに対して、3月28日には1499名と急増しているように見えます。その中での感染経路不明者の割合も日に日に増えていました。
でも、それが連休の気の緩みといわれると、相関関係はあるが因果関係はどうかともやもやしたものがありました。
3月に入って、海外からの帰国者が増加してそのまま帰宅している時期でしたし、夜の繁華街での増加もニュースになっていました。
とりわけ、海外からの帰国者や入国者に対して、1月の武漢からチャーター機で帰国した人たちを宿泊させたホテル三日月と亀田総合病院の対応やDP号の対応経験が生かされないのは何故なのだろうと、不思議でした。
どこかに2週間ほど一箇所にいてもらう、感染症対策に従事した自衛官が「2週間停留された」ように。
一見、単純明快な対応方法だと思うのですが、政治的・経済的には難しいことなのかもしれませんね。
自衛隊が3月16日に「1/31に開始した新型コロナウイルス感染症に関わる災害派遣活動の終結」が報告されて12日後に、「水際対策強化のため、自衛隊に対し自主派遣による災害命令を発出」とありました。
自衛隊の「自主派遣」、初めて知りました。防衛省情報検索サービスによると、以下のように書かれています。
防衛庁(*そのまま引用)長官または長官が指定するものは、特に緊急な事態で、要請を待つ時間がない時には、要請がなくても、例外的に部隊などを派遣することができる。
その自主支援により、「空港での検疫支援、帰国者の空港から宿泊施設への輸送、宿泊施設での生活支援などを実施」が始まったようです。
このあたりが、3月下旬の感染者の増大の背景とつながっているのではないかと自衛隊の活動記録から感じましたが、事実はどうなのでしょうか。
*自衛隊で集団感染が起きていない*
秋田で2名、その後熊本でも1名の感染者が出た以外は、あの集団行動をしている自衛隊で感染拡大が防げているのは何故なのでしょうか。
アメリカでは空母の乗組員に感染が広がったニュースがありました。
そもそもが「3密」の環境ですし、3月に入ると自衛隊の各学校での卒業式も通常通り行われている写真をみると、家族が欠席し国歌斉唱は独唱にと変更はあったものの、マスクもなしで大勢の学生が列席しています。
なによりも、業務として感染症患者に接触している人が多い集団です。
その中で何故感染を起こさずにいられるのか。何か学ぶことがあるのではないか。
この未曾有の時期を乗り越えるためのヒントが自衛隊の活動の中にあるのではないか、そう感じているのですが。
「事実とは何か」まとめはこちら。