都道府県の人口について下書きを書いていたら、「首都圏直結の山梨県がなぜコロナ封じ込みに成功したのか」(ビヨンドヘルス、2021年3月15日)という記事を見つけました。
当選からわずか1年、新型コロナウイルス蔓延という国難に直面した山梨県の長崎幸太郎知事。県独自の休業要請個別解除方式や"やまなしグリーン・ゾーン認証制度"など、全国から注目される様々な施策を矢継ぎ早に打ち出す。「やることが『賽の河原の石積み』にならないように」を肝に命じ、日々の対策に奔走する知事に、独占インタビューを敢行した。
山梨県は本当に「封じ込んだ」のだろうか、ちょっと気になって3月10日頃からの記事を読みました。
*「分母が増えると異常にあたる確率が増える」に似ている*
一年間、未知の新型コロナウイルスへの対応に戦々恐々としてきました。
昨年の今頃は、都内でも次第に感染者数が増えてきて、満員電車に乗っての通勤や勤務先で多数の妊産婦さんやそのご家族と接することで、自身も感染する可能性がどれくらいあるのかも見えずにいました。
しだいに付き合い方がわかるようになり、喋るときにはつばが飛ぶのを防ぐあたりが重要なのだと見えてきました。
ところが、世の中にはそういう大事なことがなかなか伝わらず、都内の感染者数が二千人を超える状況になりました。
検査数など状況が刻々と変化しているので、感染者数だけではないのですが、この頃から実感としても迫ってきた感じがありました。
というのも、案外と秋ごろまでは実際に感染したり、濃厚接触者になったという話が身の回りでまったくなかったのです。
通勤列車から吐き出されるように出てくる人の波を見て、都内の今日の感染者はこの列車一本の乗車人数のどれくらいなのかな、それは都内全域から見るとどんな確率で身の回りに起こるのだろうと、多いような少ないような困惑するちょっと不思議な感覚でした。
ところが冬になり、妊産婦さんやそのご家族で発熱する人が増えてきました。幸いにして新型コロナウイルス感染ではなかったのですが、面会や立会いなどを厳しくすることになりました。
人口がこんなに多い都内でも、感染者数がある水準を超えてようやく身近で起こるようになる。
それはあの分娩の分母が増えると異常にあたると同じような確率の問題なのかもしれませんね。多くの人は、何事もなくお産は終わると思ってしまうような。
患者数が少なくなると落ち着いたと思ったり、身の回りにそんな人はいないと思わずに、慎重になることが大事ですね。
*「感染症対策」をすれば大丈夫か*
封印したとしたら秘策は何だろうと思って検索したのですが、「山梨県知事『歓送迎会ぜひやって』 条件として感染対策呼びかけ」(産経ニュース、2021年3月10日)にこう書かれていました。
店に行く前は(1)県の感染防止基準をクリアしたグリーン・ゾーン認証施設を選ぶ(2)なるべく少ない人数で、普段一緒にいる人と行く(3)体調が悪い人は参加しないーと要請。
店では(1)短時間で済ませ、飲み過ぎはしない(2)斜め向かいの席かパーテーション越しに座る(3)席の移動やお酌はしない(4)はしやコップは一人一人で使う(5)会話するときはマスクをつけて大声を出さないーと定めた。
「会話するときにはマスクをつけて」
これを徹底させることが特に飲食を伴うときにはほんと難しいので、人口が多い地域ではそれだけ実行しない人の割合も増える、そこに苦慮している感染症ではないかと思います。
ただし、たとえ人口が少ない地域でもそういう人が一人でもいて、たまたま感染していてマスクなしに集まって喋ったり飲食すれば、一気に数人の感染者や重症者が出るのがこの感染症の怖さであり、対策の難しさですね。
ましてや、もう大丈夫と思う人が増えたら感染のリスクは高くなることでしょう。
無症状の人からの感染がスナイパーのように狙ってきますからね。
こんなことが起こるとは思わなかったと嘆くような、一生に一度起こるかどうかの稀なことが誰にも起こりうるのが、この新型コロナの怖さだと感じます。
やはり、確率の問題だと思えてきました。
今年は静かに花を愛で、季節を過ごすようにして、これからも大勢の人が一斉に観光しなければ店が潰れるとか、酒宴がなければ経済がまわらないような社会ではない方向を目指した方が、またいつか起こる新たな感染症に備えることになると思いますけれどね。
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