水のあれこれ 147 利根川に削られる

昨年信濃川の関屋分水や大河津分水路を見にいった時に、上越新幹線の車窓から赤城山の麓の風景を見ました。

雄大な景色に圧倒されたのですが、水田がなく、畑が多いという印象だったことを書き留めました。

それが群馬用水の歴史につながり、いつかこの用水を訪ねたいと計画をしていました。

 

地図では「群馬用水」という名前の水路は見つからず、どのあたりだろうと、まっすぐな水路を頼りに探していました。

県立敷島公園に隣接して前橋水道資料館があります。ここに行けば、もしかしたら何かわかるかもしれないと思い、最寄りのJR群馬総社駅で下車して資料館を訪ねてみよう、そしてきっと用水路であろうまっすぐな広瀬川の上流の、群馬消防学校の前の「大正用水」を訪ねよう。

これはなかなか楽しそうな散歩コースだと計画していたので、今回はその「下見」という感じで上越線に乗りました。

 

*崖のような河岸段丘だった*

 

以前乗った上越新幹線からは利根川の流れは見えなかったのですが、すぐにトンネルに入ってしまうのでどんな地形を流れているのかはわかりませんでした。

マップの航空写真で見ると、前橋周辺は利根川に沿って市街地が両岸に広がっているように見えます。

 

実際に通って見ると、群馬総社駅のあたりは、対岸の前橋市内を見下ろすような崖の上という感じでした。

JR群馬総社駅から歩いて対岸へ歩くという計画が、この車窓の風景からすでにあやしいものになりました。

 

 

よくよく見ると、前橋市からさらに上流に向かって、利根川の左岸側もかなりの崖のような場所が続いています。

多摩川でいえば国分寺崖線が両岸にあるような感じです。

河川のどちらかに崖のような河岸段丘があれば、対岸側には平地が広がっているというわけではなさそうです。

 

ということは、やはりあの「大正用水」は利根川から崖の上の地域に水を通すための用水路かもしれません。

あの多摩川の水を段丘に乗せて江戸まで流した玉川上水のように。

 

驚いたことに、この両岸に屏風のようにそびえる段丘が、ずっと沼田を過ぎるあたりまで続いていました。

Wikipedia利根川の「地理」の以下の箇所がそういう意味だったようです。

みなかみ町月夜野赤谷川と、沼田市で片品川と合流した辺りでは沼田盆地を形成、両岸では河岸段丘が発達している。沼田市から渋川市境に掛けては綾戸渓谷と呼ばれる渓谷を形成して蛇行、渋川市内で吾妻(あがつま)川を併せると次第に川幅を広げ、前橋市街を縦貫した後、前橋市高崎市の市境を形成する。

 

「水源に乏しい」というのは水が不足というだけではなく、この両岸にそびえ立つような河岸段丘が理由だったのでしょうか。

 

利根川上流を眺められると上越線に乗り込んだものの、ほとんどその水面を車窓から見ることがありませんでした。

すごい地形ですね。

群馬用水を訪ね歩く計画は練り直しが必要になりました。

 

 

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