散歩をする 265 小平霊園と黒目川源流を歩く

昨年は、私が幼児の頃に住んでいた東久留米に流れている黒目川を何回かに分けて歩きました。

 

支流の落合川の水源地に始まり、下里氷川神社のあたりの水面の美しさとか、妙音沢とか、武蔵野台地から豊かに水が湧き出ていました。

なぜ私の記憶では、東久留米周辺はただただ乾いた大地に見えていたのだろう、黒目川を全く知らないままきてしまったのはなぜだろうと不思議です。

あんがい、身近な楽園には気づかないのかもしれませんね。

 

その源は小平霊園の中だったことも、昨年知って驚いたのでした。

さいかち窪

さいかち窪(皀莢窪、槐窪とも)は、霊園内の一角(近傍、東久留米市柳窪三丁目)を指す地名で、雑木林に覆われた直径100m余りの窪地(くぼち)である。黒目川の地形上の源頭にあたり、通常は水のない枯れ窪だが、雨の続いた後などには水を湛え、特に雨の多い年には何日も水がたまったまま沼のようになることもある。2015年、2016年、2017年と3年連続して、その後は2019年に台風19号の通過した後ここが湧出した。その前は2008年、2004年、1998年、1991年とさかのぼる。1991年は台風の大雨で武蔵野線新小平駅が水没した時に湧出した。東久留米市史によれば小平霊園が開園した1948年以前は常時湧き出す小池があったらしい。

Wikipedia「小平霊園」

 

お墓参りに行っていたあの霊園内に、黒目川の始まりがあったとは。

12月中旬に、いよいよそこを訪ねることにしました。 

 

*さいかち窪を訪ねる*

 

西武線小平駅を降りると、小平霊園の入り口まで石材店が並ぶ通りを少し歩きます。

もっと石材店があったように記憶しているのですが、それでも仏花の入った桶が店頭にある風景は変りませんね。

変わった点といえば、貸自転車があったことでした。確かに園内は広いので、自転車があればとても便利そうです。

 

私の祖父のお墓は西武線に近い方の区画だったのですが、さいかち窪は反対の北東の方向にあるようです。

静かな園内を歩くと、じきに雑木林が見えてきました。

その中が緩やかに窪んでいます。ここが黒目川の源流にあたる場所のようですが、たしかに水は見えませんでした。

 

 

*小平霊園からの2本の流れ*

 

地図では小平霊園から2本の川が出ているように描かれています。

黒目川と野火止用水の間に、もう一本川があり、下里氷川神社の近くで黒目川に合流する川のようです。

最初にその支流から歩くことにしました。小平霊園内から小さな水の流れが始まっています。

両岸は住宅地ですが、よく見ると傾斜が結構あり、この小さな川が作り出した地形のようです。おそらく1960年代頃から建てられたのだろうと思われる住宅があり、ちょっと懐かしい風景です。

 

200mも歩くと、その小さな川の両岸に住宅が迫るようになり、そばを歩けなくなりました。

次にその川を見たときには、水無し川になっていました。この川の名前は地図に載っていなかったのですが、住宅地の地図に「出水川」とありました。

もしかすると、雨が多いと溢れるような川だったのでしょうか。

周辺は、地図では想像していなかったほど起伏があり、農地や果樹園がありました。ちょうど東久留米市東村山市の境になるようです。

 

最初は黒目川の合流部まで歩く予定でしたが、日が落ちるのが早い時期ですし、水の流れる川のそばを歩きたくなり、大岱公園から黒目川へと向かいました。

 

*幻想的だった黒目川上流*

 

東久留米市立第十小学校の裏手から、今度は小平霊園に向かって黒目川を歩きました。

小学校の裏に、木で作られた遊歩道が整備されています。

じきに、両側が雑木林と畑になり、まるで1960年代の東久留米に舞い戻ったような場所です。

黒目川上流は、沢のように静かで、それでいて水量もありました。

 

雑木林はすでに葉が落ち、そこに紅葉がところどころ浮かび上がる晩秋の風景です。

深い竹やぶが川に沿って残り、さわさわと風に揺られているそんな遊歩道で、たまに人とすれ違うぐらいで、一人で静かに歩くことができました。

「黒目川越処橋特別緑地保全地区」と書かれた標識がありました。

 

黒目川上流は小さな流れですが、両岸は水で削られた場所もあり、高低差もあります。

1960年代には手をつけられなかったこのような場所も、現代の技術なら川のすぐそばまで家を建てることもできたことでしょう。

郊外へ郊外へと住宅地が広がって行った時代に、この水源と小さな雑木林を保全地区にしようと考えたのはどんな方々だったのでしょうか。

 

もう一度、小平霊園に入り、さいかち窪をぐるりと歩いてから帰路につきました。

 

 

ところで「さいかち」とはどんな意味だろうと検索したら、マメ科の植物でした。

「ひょろひょろの形」から、あの窪につけられたのでしょうか。

 

 

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