水の神様を訪ねる  20 黒目川と下里氷川神社

今回の散歩は、ちょっと大それた表現ですが野火止用水を踏破しようというものでしたが、地図で氷川神社を見つけるとやはり寄り道をしたくなりました。

 

小平霊園の南側から始まっている黒目川が下里という場所でぐいっと蛇行し、そこにあるのが下里氷川神社です。

地図ではその北側に並行して野火止用水が通っています。

地図に描かれたこの2本の、正確にいえばもう一本、小平霊園から小さな流れがあり途中で暗渠になっているようですが、この3本の水色の線を見ただけで、野火止用水と黒目川にある河岸段丘を想像できるようになりました。

 

予想通り、野火止用水のある場所から右折して新所沢街道沿いに歩くと、緩やかな下り坂でした。

そして黒目川の川岸が遊歩道と公園として整備されていて、そこに広大な団地がありました。

検索すると、1969年から71年に建設された久留米西団地で、鉄筋コンクリート製の5階建で1942戸の団地だそうです。

こうした半世紀前の最先端だった団地群は敷地が広く、建物の間もゆったりとしています。

昔は土地に余裕があったからぐらいに思っていたのですが、やはりコンクリートで周囲の土地を浸水から守っていたという役目があったのではないかと思える場所です。

当時はこのあたりは、住宅というより大事な畑が広がっていたのではないかと。

 

*半世紀前の風景が現れる*

 

久留米西団地の前から黒目川左岸沿いに入ると、真新しい遊歩道が住宅と何かの工場の間にできていました。

清流といえる美しさですが、住宅の間という周囲の風景に、このあたりの人口が増えた半世紀を感じながら歩いていると、ふと目の前に全く別の世界が広がりました。

 

 

右岸側に畑が広がり、そして黒目川がゆったりと川幅を広げて、少し小高くなった下里神社横の蛇行部分へと流れていました。

神社の竹やぶと真っ青な空と、そして静かに流れる黒目川。

もしかしたら幼児の頃にこの辺りに連れてきてもらったことがあるのではないかと、記憶を手繰り寄せようとするのですが、どうも私の記憶の東久留米というのは乾燥した畑が広がる風景です。

 

 

この息を呑むような風景の左岸側には、一戸建ての真新しい住宅が並んでいました。

この清流のそばに住むことができるなんてうらやましいですね。これもここ半世紀ほどの都内の洪水浸水をなくす工事によるものなのかと思いながら歩きました。

 

ここから200mほど歩くと、黒目川は川幅を広げぐんと水量が増えはじました。両側に堤防と遊歩道が続きます。

さらに200mほど歩くと、右岸側に大きな工場が見えてきました。

コカ・コーラの工場です。

3歳の頃に見学した工場の裏手には黒目川が流れ、その上流にはあの美しい下里氷川神社の風景があったのですね。

 

 

やはり水の神様だったと、氷川神社の前で頭を下げたのでした。

 

 

 

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