事実とは何か 91 闇が見える瞬間がある

7月8日、お昼ごろにテレビをつけたら騒然とした雰囲気でニュースが続けられていました。

NHKはいつも通り繰り返しその瞬間の映像を流し、犯人が確保されたことを伝えていましたが、チャンネルを変えると時間とともに他のテレビ局では「元首相でなくても良かった。高い地位にいる人を狙った」というような犯人の言葉が流れていました。

「民主主義への暴挙」という雰囲気が高まっていく中で、なんだか腑に落ちない理由だなと感じました。

 

出かける必要があったので一旦報道を追うのはやめて、夕方に帰宅した頃には宗教団体のことが話題になり始めていました。

ただし、NHKのNEWSWEBを確認すると、NHKがそのことをニュースにしたのは翌朝「【解説】安倍元首相銃撃 捜査の焦点と政界への影響は」(2022年7月9日8時10分)の中の以下の箇所でした。

「特定の団体に恨みがあり、元総理がこの団体と近しい関係にあると思い、狙った」

 

人を殺したり危害を与えることで何かを達成することはもちろん許されないし、この事件の背景は慎重に捜査されているでしょうから事実はよくわかりませんが、この件をきっかけに「今、こんなことになっているのか」と一時期よく耳にしたその団体の現状に驚いたのでした。

 

 

*多くの人が知っていたはずなのにという瞬間*

 

その感覚が、1995年3月20日のあの地下鉄サリン事件に遭遇した時のことを思い起こさせました。

 

その日、私は松井やよりさんと新宿から霞ヶ関に向かう丸の内線に乗っていました。

途中で急停車し、全員降ろされました。

今のようにすぐに情報がわかる訳ではないので何が起きたのか全く見当もつかないまま、慌てて地上に出ました。詳細は覚えていないのですが、すぐに号外が出され、私たちが乗った一本前の地下鉄で大変なことが起きたことが伝えられていました。

松井やよりさんが号外を見て、「オウムだ」とボソッと言いました。当時、ゾウの被り物を被って選挙運動をする怪しい団体ぐらいにしか認識していなかったのに、報道関係の人にはその危険性が常識だったことにおどろきました。

 

日に日に新たな情報が伝えられるに従って、なんと闇のように知らない世界の上に生きているのだろうと愕然としました。

報道関係者だけでなく大学などでは相当警戒されていたことなど、この件では全く私は住む世界が違っていました。

 

今回は、犯人の動機や全体像がわからないうちから「民主主義への暴挙」や「テロに屈するな」という雰囲気になっていますが、何か大事なことを見落としているのではないかと思えてきます。

それは二度と同じような犯人を生み出さないための大事な再発防止になるかもしれない、何かを。

 

事実とは何か。

こんな時には、何が書かれていて何が書かれていないのか、時系列でしっかりニュースを追っていくことも大事かもしれませんね。

 

 

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