生活のあれこれ 14 木簡の魅力

今回の散歩の1日目は奈良で宿泊しました。ホテルでテレビをつけると、NHK奈良放送局の「ならホリ」で木簡の魅力についての番組があり、直前に通過した平城宮跡が冒頭に映ったので見入ってしまいました。

 

「木簡」、最近郷土資料館を訪ねる機会が増えたのでよく目にはしていたのですがだいたい素通りしていました。

土地そのものが歴史の記録を残している奈良ではの話題ですね。

 

検索したら「ならナビ」というサイトに放送内容があり、興味深い内容だったので記録に残しておこうと思いました。

奈良を愛する人たちが県内の歴史や文化の魅力をホリ下げる『ならホリ』。

今回のテーマは、「木簡」です。

 

「木簡」は発掘で見つかる文字などが書かれた木の札。奈良の京・平城京では、全国の木簡の半数以上が見つかっています。歴史書には書かれない古代のリアルが記されていて、歴史を大きく塗り替えることだってあるんです。

その魅力を奈良文化研究所で20年以上、木簡の研究を続けている馬場基さんとホリ下げて行きます!

馬場さんが、まず案内してくれたのは青い箱が所狭しと積まれた場所です。箱の中に入っているのは、発掘調査で見つかった木簡。保存液につけて、全部保管しているというんです!25万点~30万点はあるということで、びっくり。そんなにあるんですね!

奈良の平城京では、毎年、どこかで発掘調査が行われています。例えば、およそ30年前、NHK奈良放送局の近くにある大型商業施設の建設前に行われた発掘調査では、奈良時代の有力政治家、「長屋王」に関わる木簡が見つかりました。

土の中から見つかった木簡は、表面を洗い流した後、乾燥しても形が崩れないように保存処理が行われます。ただ、処理をはるかに上回るペースで新たなものが見つかっているため、保存液につける形で一時的に保管しているんです。

処理を終えた木簡は、特別な収蔵庫で保管されます。地道な作業があるからこそ、私たちは博物館などで1300年前の木簡を目にすることができるんです。こうした保存の処理とともに大切なのが内容の調査。歴史上の人物に関わる発見や、教科書を塗り替えるような発見もありますが、魅力はそこにとどまりません!研究のトップランナー・馬場さんに面白いと思った木簡ベスト5を選んでもらいました。

 

★5位★

第5位は讃岐国の阿野郡、今の香川県坂出市周辺から塩を送ってきた時の木管です。讃岐国というと弘法大師空海の出身地で、文字が上手そうな地域なんですが、文字に書かれている土地柄からか、さらさらっと書いてしまう。讃岐国から来る木簡はだいたい文字が雑なんです。

★第4位★

第4位は写実的な顔が書かれた木簡です。写実感から、見ずに書いたとは思えない。鼻の高さといい、彫りの深さといい、ちょっと普通の日本人には見えません。お面じゃないかという意見もありましたが、後頭部や首回りを見ているとリアルな人ではないかと。ぱっと思いつくのが菩提僊那奈良時代にインドから来た僧侶)*とかそういった人々で、この平城京に来た姿が物珍しくて、一生懸命記録したのではないかと想像しています。

★第3位★

第3位は、非常に慣れた筆で『吾(私)は死ぬ、留まる、吾は』と書いて、『亡くなる』と書いています。この木簡は習書、字の練習に使われたものですが、なんでこんなことを書いちゃったのかなと・・・。留まるという文字は「〜する」の「る」の意味で使う時もあれば「留まる」の意味で使うときもあって、さあどちらなのか。死ぬのを思うとどまったのか、死んじゃったのか、いろいろ想像が膨らみます。

★第2位★

第2位は『善(よ)き妻を娶(めと)る時が来た』とかいた木簡です。「来た」と読み切っていいのか、「来て欲しい」なのか、木簡の欠けている部分に否定の言葉がついて、「来らず」になるのか。いずれにせよ個人的なさまざまな思いや願い、願望を漢字をとかって表現したのがこの時代の特徴で面白いんです。

★第1位★

第1位は、すました顔があるかと思えば、アバンギャルドな雰囲気の顔もあり、なんといっても注目は一番下、動物の顔が2つあります。馬と鹿だそうです。奈良時代にバカという言葉があったか、私たちでは把握できていません。また仮にあったとしても「馬」と「鹿」と書いたのかわかりません。ただ奈良は、鹿との縁が深いですし、馬も西には生駒(馬)山もありますので、奈良っぽい木簡かと思います。

 

1300年前の人々のリアルが刻まれた木簡。馬場さんが伝えたいその魅力はんなんでしょうか?

産地直送、素材の魅力ですね。古代の人が書いて使っていたそのものを私たちは手にすることができる。だからどのように使うか我々に託されていて、どう問うか、どう見るか、これが木簡の魅力だと思います。「なんだこの下手な字は!」とか「なんでこんなこと書いたの?」といった、生活の素材に向き合うことで楽しんでいただくと、とっつきやすいかなと思います。

 

*引用者注・・・(菩提僊那(ぼだいせんな)

 

 

あまり深く木簡について知ろうとしたことがなかったのですが、Wikipediaの「木簡」に、「歴史学・考古学の見地からは、それらすべてが過去の生活の様子を伝える貴重な資料」とありました。

ブログと同じく、当時の生活を垣間見るような記録ということでしょうか。

今度郷土資料館を訪ねる時には、木簡の前でもう少し立ち止まろうと思いました。

 

 

 

 

 

 

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