1990年代の終わり頃にインターネットが普通の家庭にも広がり始めてから、夢のような便利さを享受しているとともになんともいえない不安定さも感じます。
現実の存在と架空の存在を見極めることが大変になったというのでしょうか。
先日もiCloudの支払いについて「もうじき支払日がきますが、手続きしないと現在のタイプから変更されて支払額が増えます」というメールが来ました。
恐る恐る開くと、確かにAppleの相談のようなサイトで手続き方法が書かれているのですが、何か違うような気がしてそのままにしておきました。
翌々日、特に問題もなく今まで通りの額が引き落とされていたので、あれはなんだったのだろうとわかりません。
こういう場合に、これが本物のお知らせなのかネット上では送信してきた相手に確認する手段がないことが多いですね。
返信したらそのまま何かの詐欺の入り口に入ってしまうのか、判断に悩むところです。
通販の配達でもトラブルがあった時に相談のチャットへと誘導されたのですが、日本語のチャットなのにこんなに日本語ではないような会話は珍しいと思う噛み合わなさで、解決方法がわからずに途方に暮れたことがあります。
ひたすらあれこれ似たようなトラブルを検索したのですがわからず、その代金が無駄になっても仕方がないからともう一度発注したら、なんだかわからないまま解決しました。
あれはなんだったのでしょう。
こうしたお金や物の取り引きなのに、相手の住所や電話番号、メールアドレスなどが隠されていることが増えました。
トラブル対応の数も多いでしょうし、ほんと困ったクレーマーのようなケースもあるでしょうからこれも仕方がないこととは思うのですが、なんだか相手が見えないようで心もとないなあと今も慣れません。
30年ほど前だったら大事な連絡は郵便でも書き留めのような別便でしたし、電話番号や住所で相手を「信用」してのやり取りでしたが、ネットの場合の場合は感で相手を見極めているという感じですね。
*個人情報を隠したカード、どのように相手を確認するのだろう*
ところで、またマイナンバーカードで混乱するようなニュースがありました。
「"新"マイナカードを検討 政府 2026年を視野に」
マイナンバーカードの交付開始から10年を迎える2026年を視野に、政府が新しいカードの導入を検討していることが分かりました。
現在のマイナンバーカードは、カードの表面に顔写真や氏名、性別、生年月日が記載されていますが、こうした情報は内蔵されているICチップにも含まれています。
新しいマイナカードでは個人情報を見られたくない、もしくは性別を載せたくないなどといった声にも配慮して、カードの表面に、こうした情報を極力載せないことが検討されています。また、18歳以上の場合、「発行から10回目の誕生日まで」とされているカードの有効期限についても見直すことが想定されています。
政府は、現在のマイナカードの普及状況や関連法案の審議状況などを見極めたうえで本格的な検討に入る見通しです。
(TBS NEWS DIG、2023年2月16日)(強調は引用者による)
「新しいマイナカードでは個人情報を見られたくない、もしくは性別を載せたくないなどといった声に配慮して、カードの表面に、こうした情報を極力載せないことが検討されています」
それだと今の運転免許証のように、自分をすぐに証明したいときには使えなさそうですね。
その「カードリーダー」も、役所なら住所や税金関連の情報、警察なら運転免許や犯罪歴、医療関係なら受診記録など個々の情報だけしか読み取れないような特殊なカードリーダーが開発されるのでしょうか?
カードリーダーを持つ側には厳しく守秘義務が課せられなければ、とても怖くてカードを相手に見せられないですね。
自分を証明するカードなのにとっさのときに一枚のカードだけではダメで、カードリーダーが必ず必要になるということでしょうか。
ますますどんなシステムなのか想像がつかなくなってきました。
いやはや、相手を確認するのも自分の存在を証明するのも、その方法が急激に変化して複雑な社会になりましたね。
そして本当に証明できているのか、そこが私の根源的な悩みです。
インターネットを土台にした社会というのは生活の仕様を急に変更させられたり、内容を勝手に編集されたり、誰かに生活を操られているかのようなことがしばしば起きるし、生活が混乱しても問い合わせ先でさえないこともまだ信頼を置けない部分ですね。
一枚のカードから私の人生まで勝手に編集されなければいいけれど、というのは妄想でしょうか。
「存在する」まとめはこちら。
マイナンバーとマイナンバーカードについての記事のまとめはこちら。