生活のあれこれ 33 利便性の先にある義務化や強制は怖いですね

 

13年前にはもう自分の人生で「未曾有」という言葉に遭遇することはないだろうと思っていたのに次々と「日常から非日常へ」の10年がすぎ、さらに今年は元日に起きた能登半島地震そして2日の羽田での航空機事故と理不尽さに心が千々に乱れるような1年の始まりでした。

あの幻想的な能登半島富山湾と美しい氷見の街半世紀前には人が住むには過酷だった内灘の美しい街、そしてやはり信濃川とその沼のような地域を美田へと変えた新潟の街と、ここ数年で歩いた場所の地名と被害が次々に耳に入りました。

 

ただ、羽田での事故はまさに着陸直前からの映像がすぐにネットに投稿されて報道されていたのに対して、元日の「大津波」の警告の後、ニュースに被害の状況が映し出されるようになるのは翌日まで待たなければならなかったことは、たとえ個人が端末を使いこなせても通信のインフラ整備の地域差やその大元が壊れればどうしようもないということが突きつけられた印象です。

 

 

*じわりと「義務化」が語られていた*

 

通信や電気などのインフラの復旧に時間がかかる中で、災害時にはやはり存在を証明する方法のリスク分散が大事だと痛感しますが、デジタル庁はどのようにこの状況を捉えているのだろうと検索しましたがよくわかりませんでした。

 

ただ、1月4日付で、「今このような話で大丈夫か」と思う記事がありました。

デジタル大臣河野太郎 保険証廃止の疑問にお答えします

 

 今年の秋に現在の健康保険証が廃止され、マイナンバーカードに移行されます。皆さんの疑問に河野太郎デジタル大臣が答えました。

 

Q. 今年の秋に保険証が廃止されるとどうなるのですか

A. 保険証が廃止されても国民皆保険にはなんら影響はありません。今年送られてくる新しい保険証は、来年の利用期限まで利用することができます。その後については、マイナンバーカードの保険証利用登録を行っている方は、マイナンバーカードで受診します。マイナンバーカードを持っていない方、マイナンバーカードの保険利用登録を行っていない方には、保険証が使用できなくなる前に、申請しなくても、「資格確認証」が保険者から送られてくるので、それで受診してください。 

申請しなくても送られてくるのであれば今までの保険証と同じですから、95%の人は「資格確認証」を使う可能性がありそうですね。

 

Q. なぜ保険証を廃止するのですか。

A. マイナンバーカードの保険証利用には大きなメリットがあります。マイナンバーカードを使えば高額医療費の上限を超える分の窓口での負担は無くなり、立替え払いをする必要がなくなります。

  もしあなたが旅先で意識を失い救急車で運ばれるようなことがあっても、マイナンバーカードがあれば、搬送先の病院であなたのこれまでの受診歴などを確認し、必要な検査などの準備を始めることができるようになります

  自分が使った薬や過去の健康診断の結果を不正確になりがちな口頭ではなく、データーによって正確に伝えられます。お薬手帳に記載されていない入院中の薬剤や院内処方の薬剤を含め、他の医療機関や診療科で処方された薬剤の情報が、診察する医師に提供され薬の重複投与や飲み合わせの悪い薬の処方を防げます。

  あなたのこれまでの受診履歴や健診記録データ、薬剤情報はマイナポータルでご自身でも確認することができます。

  さらに、マイナ保険証を基盤とする医療DXを進めていくことにより、今後、医療情報を匿名化したビッグデーターとして扱い、より良い治療方法、治療薬の開発につながることが期待されます。

 

「旅先で意識がなくなって搬送」のような状態であれば、現在でも「その個人の受診歴」などを確認する時間の猶予もなくまずすぐに救命処置から始めるでしょうし、怪我や意識がない状態などおよそ顔写真とは違う状況で搬送されてきた時にどうやってカードと照合するのでしょう。

そういう非日常が常に起こり得る医療に携わっていると、非常時の「その個人の確認方法」というのはマイナンバーカードでは無理だと思いますね。

 

 

Q. 私の高齢の両親は認知症もあり、マイナンバーカードを受け取りに市役所に行くことができません。どうしたらよいですか。

A. マイナンバーカードをお持ちでない方には資格確認書が発行されますので、それで受診することができます。ただ、マイナンバーカードがあると、受診歴や薬剤情報を見ることができて便利です。マイナンバーカードは代理人が受け取りに行くことができます。その際は、本人と代理人の本人確認書類、本人宛の交付通知書と委任状が必要です。また暗証番号を設定せず、顔認証による保険証としての利用を想定したマイナンバーカードを発行することもできます。このカードなら施設などで暗証番号を管理する必要がなくなります。

高齢者や認知症の方にとって「本人確認書類」ってなんだろう。「資格確認書」ではダメなのかな。なら今までの保険証と変わらないし、よくわからないですね。

交通費と時間と人手をかけてカードをつくる意味がどれだけあることでしょう。

さらに被災して失った場合、今まで以上にこのカードの再発行という手続きが増えることになりますね。

 

 

Q. かかりつけの医療機関ではマイナンバーカードでの受付をやってくれません。どうしたら良いのですか。

A.  一部の例外を除き、保険診療を行う医療機関マイナンバーカードによる受付が義務付けられましたマイナンバーカードでの受付をしていない病院があれば、マイナンバーカード総合窓口【フリーダイヤル】0120-05-0178に御連絡ください。必要に応じ、厚労省から医療機関等に事実関係の確認などを行います。

 

(神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報誌 タウンニュース、2024年1月4日)(強調は引用者による)

 

今までもどこからかの力で突然降ったような話にはしごを外されてきたけれど、保険診療の中では医療機関の立場は弱いですからね。

任意取得だったマイナンバーカードに健康保険証を紐づけて、さらに突然、保険証廃止に持っていったことは強制的であり、恫喝的な義務化に対しては警戒心が出てきます。

 

 

 

*おまけ*

 

ところで、この記事はまさか新年早々に大きな災害が起こるとは誰も予想もしていなかった昨年末のインタビュー内容を変える時間もなくそのまま流したのかと思ったのですが、そうでもなさそうです。

 

昨年12月10日に「マイナカード義務化の議論『あり得る』 未取得者少数の場合」(毎日新聞)という報道もありましたが、2024年1月7日に「河野太郎デジタル相に聞く マイナカード取得義務化『将来的にはある』」(神奈川新聞)という報道もあったようです。

 

あの未曾有の感染症拡大時にも、行動制限やマスク着用の 強制や義務化をせずに「お願い」でやり遂げてきたというのに、「義務化」を簡単に述べる政府の姿勢はやはり警戒しておかなければと感じました。

なぜマイナンバーカードをそんなに強行に進めようとするのでしょう。

その先は、どこへと行き着くのでしょうね。

 

 

*おまけのおまけ*

 

下書きを書いた後に始まった衆議院本会議ですが、「『もう無茶苦茶』岸田首相、マイナカードの取得義務化『現段階では難しい』発言で強まる『マイナ保険証』への疑問」(2024年2月2日、FLASH)「マイナ保険証、国家公務員も利用低迷 昨年11月は4.36%」(2024年2月4日、朝日新聞)とか報道がありました。

矛盾だらけと思っていても強行してきた政府、怖いですね。

 

 

 

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