水のあれこれ 291 吉野川分水頭首工と東西幹線水路

吉野川分水」で検索すると、大和平野土地改良区のホームページや奈良県の「吉野分水〜豊かな水を求めて〜」のパンフレットが公開されていてました。

 

山の辺の道に近いところで見た東部幹線水路だけでなく、吉野川分水工は盆地に沿って西側へも幹線水路があることがわかりました。

吉野川上流の大迫(おおさこ)ダム、津風呂(つぶろ)ダムから流された水を、大淀町にある下渕頭首工で取水し、水路トンネルを通って東西分水工まで送ります。農業用水はそこで東西に分水されて大和平野を潤します。水道用水は御所浄水場まで送水され、上水道として県民の毎日の生活を支えています。

奈良県のパンフレットより)

何度も読み比べ、地図を突き合わせていくうちにおおよその場所が見えてきました。

 

吉野川から取水している場所は、昨年11月に吉野川上流を訪ねた時に通過した「急斜面に街があった下市口駅」の近くのようで、そこは私にとっては2006年以来、仕事をしている時にはほぼ毎日思い浮かぶ地名でもありました。

下渕頭首工(吉野郡大淀町下渕)

吉野川分水の出発点となる取水口で、川に堰をつくって水を大和平野へと流しています。

堤高(扉高):2.9m/堤長58.6m

 

航空写真に切り替えてみると、確かに堰のような場所があります。駅から歩いて10分ほどでしょうか。

再び訪ねてみたい、頭首工もそして街がどんな雰囲気なのか歩いてみたいと思いました。

 

下渕頭首工で取水された水はしばらくトンネルで山を越えて、あの東部幹線水路と西部幹線水路に分けられる場所があるようです。

東西分水工(御所市樋野(ひの))

下渕頭首工から送られてきた水を東西に分岐させる施設。ここで東部幹線水路と西部幹線水路に分かれて大和平野へと送られます。

住所から、JR和歌山線に乗る前に少し歩いた吉野口駅からほど近い場所のようです。

いつかもっと歩いてみたいと思い、そして残念ながら柿の葉寿司のお店はお休みだったのでこれはリベンジですね。

写真をみると、幅の広い導水路から東部幹線水路はそのまままたトンネルへ、そして西部幹線水路は山に沿うように分かれています。ぜひここも見てみたいものです。

 

今回は、ここから御所(ごせ)市、葛城(かつらぎ)市そして香芝(かしば)市へと流れる西部幹線水路を追うことにしました。

そして香芝市には円筒分水工があるようです。ぜひみてみたいものです。

 

ところが、水路が暗渠やトンネルになっている場所が多いためか地図ではほとんど見当がつきません。

検索しているうちに「Cassiva(カシバを知れるウェブマガジン)」に、「香芝市に湧き出る泉と地下を流れる水路 吉野川分水について」という記事を見つけました。

その中に住宅地に忽然と出現する円筒分水工の写真と地図があり、山沿いの幹線水路とその円筒分水工の位置がわかり、おかげで散歩の計画ができたのでした。

 

 

奈良県のパンフレットには300年前に高橋佐助氏が吉野川から水を引くことを計画したこと、そして「文久2年(1862年)、五條の乾十郎の吉野川分水計画の想定図」も載っていました。

 

江戸時代からの悲願の分水路の先には、どんな水田地帯や生活があるのでしょう。

 

 

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