米のあれこれ 71 ひこばえからの稲穂

ここ数年あちこちの水田を見て歩いていますが、実りの秋には少し早いかなと9月初旬に訪ねるとすっかり稲刈りが終わってしまっていて驚きます。

稲刈りというのは9月から10月ごろだった子どもの頃の記憶があるのですが、最近は台風を避けるために早い時期に収穫するようになってきたらしいことを何かの資料で読みました。

 

稲や稲穂が風に揺れる壮観な風景は散歩の醍醐味ですが、稲刈りが終わって晩秋までの季節もまたひこばえが薄緑色の絨毯のようでこれもまた美しい風景であることに気づきました。

よくよく眺めると、ひこばえがまた育って稲穂をつけていることもあります。

ついつい卑しく「もったいないなあ、食べることができないのかな」と思ってしまうのですが、それが現実になりそうなニュースがありました。

 

 

*「田植え1回 収穫は2回」*

 

10月5日付の日本農業新聞に、そのひこばえからもう一度収穫する話がありました。

田植え1回 収穫は2回 収量倍増も 温暖化逆手に技術開発

 

 農研機構は4日、水稲の主食用品種「にじのきらめき」で、収穫後に伸びてくるひこばえを実らせてもう一度収穫する「再生二期作」の技術を開発したと発表した。合計収穫量は10アール当たり950キロ。1作目は稲を地際から40センチほどで刈り取る。地上部に栄養を多く残して、2作目も収量を確保する。温暖化による秋の気温上昇など生育可能期間が長くなったことに着目した技術で、関東以西の温暖地で可能とする。

 福岡県筑後市の水田で2021、22年に試験した。1作目は、4月中旬に移植し8月上旬に収穫する。この時、地際から40センチほどで高く刈り取る。追肥して再び入水し、ひこばえから穂を実らせ、10月下旬に2作目を収穫する。10アール当たり収量は2年間の平均で、1作目が約600キロ、2作目が約300キロ。21年は合計1016キロと1トンを超え、県内の米平均収量の2倍に上った。

 移植時期や1作目を刈り取る高さを変えて試験し、4月中旬に移植して高く刈り取った場合が、最も収量が高かった。地上部に残された栄養分が多いほど、2作目の穂数やもみ数が増える。食味は、1作目と2作目で変わらないことも確かめた。

 1作目の高刈りと、2作目は稈長(かんちょう)が短くなるため、収穫期には汎用(はんよう)コンバインが必要になる。1作目の収穫期にクローラーで株を踏んでも、ひこばえは発生する。2作目は、用水の確保、追肥の時期や量の調整、トビイロウンカなど病害虫対策などにも留意が必要。寒くなる前に収穫するため、同品種など早生で多収の品種が向くという。

 

関東以西で可能

 同機構は今回の技術について、試験地の福岡県と同様の温暖な地域であれば、関東以西で可能とする。海外では、より温暖な中国南部などで盛んに行われているという。同機構では「地球温暖化が進む中で、普及していく可能性がある。高温を利用し、適応する技術だ」(九州沖縄農業研究センター)と話す。

 同機構は同県の技術を飼料用米で発表しており、主食用品種では今回が初めて。

 

 

田植えを専門用語では「移植」というのを初めて知ったくらいど素人なので、この技術の今後については全くわからないのですが、現場のどこかの需要があり研究が積み重ねられているのでしょうか。

 

ひこばえからもう一度収穫できる。

しかも味は変わらないというのですから、夢ではなかったようです。

そして、1年で2回も稲穂が揺れる車窓の風景も可能になるかもしれないですね。

 

 

 

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