今年は何かとお米に関するニュースが多い年でした。
昨年は明治用水頭首工の大規模漏水のために矢作(はやぎ)川右岸の水田への影響がどうなるのかと、やきもきしながら経過を追っていました。
なんとか例年通り農業用水の確保ができそうという見通しができ、三河安城あたりを新幹線で通過するとき車窓から見える水田地帯の稲穂に安堵したのでした。
もしかすると今年はこの風景を見ることができないかもしれなかったのですから、水田を維持するというのは水の管理から天候まですべてがかみ合ってできることで、無事に収穫し、そのお米を食べることができるというのは「奇跡」に近いことだという思いがますます強くなりました。
*田んぼがひび割れるということ*
今年の猛暑では、水が行き届かなかった田んぼはその年だけでなく復旧が大変であることを知りました。
【追跡】猛暑でひび割れた"田んぼ"は今・・・復旧に多額の費用 地滑りの怖れも「何とか守りたい」【新潟発】
記録的な猛暑となった今夏の新潟県。この猛暑と水不足の影響を受け、農作物などの被害が多く発生している。今年8月下旬にひび割れが発生していた上越市の田んぼのその後を追った。
ひび割れた田んぼ 被害は「深刻」
黄金色に輝く田んぼは実りの秋を印象づけるが、今年の夏の水不足の影響を大きく受けていた。穂を見ると、完全に実っていないのが分かる。
その原因が田んぼのひび割れだ。上越市では水不足により、一部の地域で田んぼのひび割れが発生した。
実るほど頭を垂れる稲穂だが、ひび割れた田んぼでは稲に栄養が行き届かず、実が十分になっていない。
上越市板倉地区総合事務所の小林隆浩次長は「田んぼを一枚一枚に入って、ひび割れ・亀裂の状況を確認。ひびが一番深そうなところを掘り出して、ひび割れの深さが20cmあるかどうかを調査している。
復旧工事には多額の費用
猛暑と水不足によってコメ農家をはじめ、田んぼの保水能力が低下する恐れがあるため、上越市では基準を超える被害が発生したコメ農家などに対し、復旧工事にかかる費用を65%支援する。
コメ農家の中川卓夫さんは「これが全部復旧すると、うちの場合600万~700万円近くかかる。先祖からずっと守ってきた。田んぼを荒廃地にしたくない」と話す。
地滑りの危険性も…「何とか守りたい」
しかし、ひび割れの影響は保水能力の低下だけに留まらない。
見つかったのは、田んぼのあぜ道にできたひび割れ。この、ひび割れた箇所に雨が降ることで地滑りが発生する危険性もあると言う。
中川さんは「この地区では、まだ一枚も田んぼが荒廃していない。全部守っている。地滑りしたりしてしまうと、今度は守りきれなくなる。それを何とか守りたくて」と切実な思いを口にする。
これまで、上越市には田んぼ約2700枚の復旧工事の申請が寄せられていて、市は10月中旬までに調査を、冬までに工事を終わらせる方針だ。
収穫量の減少や品質検査の低下によってコメ農家の収入も下がっている。県も自治体を支援する方針だが、コメどころ新潟を支える農家への支援が重要と言えそうだ。
北陸新幹線でトンネルを抜けると上越妙高駅の手前に広大な水田地帯が広がり、それはそれは美しい風景です。
上越市牧区の棚田はどのあたりだろうと地図を見ると、その東側の飯田川に沿った山あいの地域のようです。
ところどころ貯水池のような水色の箇所もありますが、この地域の棚田の水はどこからきているのでしょう。
雨の降り方によってはため池の決壊もあり、水が足りなければ稲が育たない。
そしてひび割れるほどの水不足は、地滑りを起こすこともあるのですね。
全国津々浦々の水田が健在の風景はこうした失敗を乗り越えてきた歴史であり、「先祖代々の」にはそういう意味もあるのでしょうか。
今年の田んぼのニュースにまた、なんだかかなわないなあと思うことがたくさんありました。
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