こんなに畦道を歩いたのにツルボが一本も咲いていないとはあまりにも信じられないまま、奈良での時間が残りわずかになりました。
法隆寺からJR法隆寺駅まではバスに乗る予定でしたが、水田地帯を通るので最後までツルボをあきらめきれず歩くことにしました。
用水路や分水路そして稲穂をながめるいつもなら幸せな時間ですが、今回は二日目になっても一本もツルボを見ることができないという焦りに加えて、途中からまた本降りの雨で踏んだり蹴ったりです。
でも法隆寺の方を振り返って、幻想的だった風景を見ることができただけでも十分ですね。
奈良駅まで、そして京都駅までの車窓からもまだまだあきらめられずにツルボを探しました。
*京都からサンダーバードで金沢へ*
12時10分京都駅発のサンダーバードに乗りました。じきに琵琶湖湖畔沿いになり、ここもまた美しい稲穂が実りの時期を迎えていました。まだ未練がましくツルボを車窓の風景に探したのですが見えません。
大きな琵琶湖の風景もあっという間にすぎ、山あいを抜けて敦賀に到着しました。2年前に比べて、だいぶ北陸新幹線の高架橋ができていました。
敦賀を出発すると大雨の後のため今庄のあたりで減速するアナウンスがあり、長いトンネル内から徐行し始めました。
トンネルを抜けるとそばに崖崩れがみえました。
南今庄駅の手前では鹿蒜(かひる)川の堤防が崩れたままで、集落の手前には瓦礫がそのままになっているのが見えました。
日野川との合流部の手前にある数軒の住宅は家の中に土砂が流れ込んだままで、学校のグラウンドに災害ごみが積まれていました。
8月3日から4日の大雨から3週間、どのような避難生活を送られているのでしょう。
開けた場所に出ると、4分遅れで武生駅に到着しました。北陸新幹線駅ができるようです。
3年前に九頭竜川の本流と支流を訪ねた懐かしい場所が見えてきました。
その時にはまだなかった高架橋が水田地帯にできていました。
足羽川を越え、福井駅を過ぎると九頭竜川が見えました。また雨が降り始めて、福井平野が雨に白く煙っています。黄金色の水田地帯と黒い瓦屋根と、美しい風景でした。
また山あいに入り、そこを抜けると県境をこえて石川県へと入りこのあたりから「潟」が増え、いつか歩いてみようと思っていた梯(かけはし)川の氾濫で小松市内にも大きな被害が出ました。
川幅の広い手取川を渡り、しばらく平野を走ると金沢に到着しました。
*金沢から北陸新幹線の車窓を眺める*
15時56分のかがやきに乗車、懐かしい河北潟を過ぎるとじきに富山に入り、すっかりお天気になって虹が見えました。
黒い瓦屋根と稲穂が美しく輝いています。庄川を渡り、目を凝らしていたので牛ヶ首用水も見逃さず満足し、神通川、常願寺川、白岩川、上市川、草月川、片貝川そして黒部川と富山は本当に川が多いですね。だいぶ北陸の川の位置も覚えました。
そして今回発見したのは、富山の川は白い河床にエメラルドブルーの水に見えることでした。
長いトンネルを抜けると姫川をこえて糸魚川駅を過ぎトンネルを抜けると上越妙高で、この辺りの稲穂はまだ黄緑色で収穫まではもう少しありそうです。関川の取水堰が見えました。
もう一度トンネルに入り、飯山から千曲川沿いにりんごが袋がけされている風景とまだ緑の稲穂の風景に変わりました。
津軽の岩木川にりんごが浮いている悲しいニュースがあっただけに、どうか無事に収穫ができますようにと思っているうちに霧が深くなり軽井沢です。
トンネルを越えると関東平野の風景になり、まだ明るいうちだったので伊奈屋敷跡あたりもしっかり見届けられ、見沼代用水によってできた地域をすぎて18時1分に大宮駅に到着しました。
一番の目的であるツルボは見ることができませんでしたが、三重県から奈良、そして北陸をぐるりと回ってあちこちの川や水路を見ることができました。そして7世紀ごろから現代まで、水について行きつ戻りつ考えるという壮大な散歩になりました。
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