このところ「〇〇〇万円」「〇〇万円」といった金額とともに出てくる政治家のWikipediaを必ず読むようにしています。
それぞれの人生の記録があって興味深いですし、そこから「策士」になるか「政策を考える人」になるかの分かれ道のような法則も見えてきそうです。
最初は意気揚々と理想を語り、それなりの努力をされたのでしょうが、どこかで道を間違うとこうなるのかと。
*なぜ最高顧問の一人がいない時の初会合だったのだろう*
この1ヶ月ほどの裏金問題から突然の「派閥解散」の流れの中で、最初に引っかかっていたことがとても気になりだしました。
年明け早々、1月4日に「政治刷新本部立ち上げ」というニュースがありました。
岸田首相「私自身、先頭に立って、この問題に取り組む」
岸田首相は、BSフジの「プライムニュース」で、本部長は自身が務め、自民党の執行部、外部の有識者のほか、派閥の改革を求めている菅前首相と自民党の麻生副総裁の2人を最高顧問とする考えを明らかにした。
(FNNプライムオンライン、2024年1月5日)
その翌週に最初の会合が開かれるというニュースでしたが、年末に報道された通り麻生副総裁は「1月9日から13日までの日程で米国を訪問」し、その最中の1月11日に初会合が開かれたのでした。
最初から麻生氏不在が決まっていた時になぜ初会合を開くのだろうと。
なんだかつじつまが合わないなあと気になっています。
当時のニュースも、この不在時にあえて初会合を開くのはなぜかということも書かれていないものばかりですし、渡米する麻生氏に尋ねた記事もなさそうです。
自民、「政治刷新本部」初会合を11日開催 30人規模の見通し
自民党は、派閥の政治資金パーティを巡る事件を受けた政治改革について議論する「政治刷新本部」の初会合を11日に開催する。関係者が9日明らかにした。メンバーは30人規模となる見通しで、国民の信頼回復に向けて踏み込んだ改革案を示せるかが焦点となる。
自民は10日の臨時総会で岸田文雄首相(党総裁)直轄の政治刷新本部の設置を正式決定する。茂木敏充幹事長や渡海紀三朗政調会長、木原誠二幹事長代理らで構成し、小倉将信前こども政策担当相が事務局長を務める方向。小泉進次郎元環境相ら歴代青年局長、女性局長経験者も加わる見通し。
顧問には麻生太郎副総裁と菅義偉前首相を充てる。派閥容認派の麻生氏と派閥解体に積極的な菅氏を起用することで、意見集約が難しくなる可能性もある。閣僚経験者は「主導権争うになりかねない」と指摘した上で、メンバーが30人規模になることについても「広く意見を聞いて取り入れた形にしたいのだろうが、議論がまとまらないのではないか」と懸念を示した。(以下略)
(毎日新聞、2024年1月9日)
2~3日後にずらせば麻生副総裁も出席できそうですが、どこからもそんな声がないのはなぜだろう。
なんだか予定調和的な日程の立て方と報道の仕方ですよね。
議論を交わすこともなく物事が決まるのもそれに疑問や反論もないのが、まさに閥ですね。
*「策士策に溺れる」と「先覚者」*
その後の突然の派閥解消のニュースになりましたが、ふと「策士」という言葉が思い浮かんだのでした。
そういえば「策士策に溺れる」ということわざがありましたね。
策略にたくみな人は、策を弄しすぎて、かえって失敗する。
(コトバンク、「ことわざを知る事典」)
その解説にこんなことが書かれていました。
「策士」は明治以降人物評によく使われるようになったことばで、ことわざの用例も比較的新しいものにかぎられています。
明治時代、「策士」という概念と言葉ができ始めたのはどんな世の中の動きがあったのでしょう。もしかするとその対極は先覚者かもしれないと思えてきました。
他に先んじてそのことが大事であることを悟り、研究し、実行する人。くさわけ。また、時代の流れを他の人より先に察知した人。
今回、先んじて「派閥解消」を主張し実行した人は「策士」か「先覚者」か。
すでに世の中は失敗を再発防止に活かす方法と、自分の過ちに過ちを重ねないための方法を知ってしまいましたからね。
そこが理解できていないから、政府は事故を起こした当事者だけで刷新会議を開いてしまうのでしょうか。それとも、策士同士だとこうなるのでしょうか。
幕末から明治時代へ時代が大きく動いた頃の民衆の歯痒さもこんなところでしょうか。
それで明治時代には合理的な発想が急激に広がったのかもしれないと妄想したのでした。
「つじつまのあれこれ」まとめはこちら。
あの日(2022年7月8日)から考えたことのまとめはこちら。
失敗とかリスクについてのまとめはこちら。
あわせて鵺(ぬえ)のようなもどうぞ。