「ヒューマンエラー」という言葉が政府から出てきたので流れが変わるかと思ったら、「丁寧に説明」という滑っとした言葉でかわされそうで心配なところにまたこんなニュースがありました。
本部設置へ
マイナンバーを巡り20日、同姓同名の別人にマイナンバーカードを交付して使用された事案や、障害者手帳情報のひも付けミス、専用サイトでの不具合発生が新たに判明した。混乱は収束する様子が見えず、国民の不信感は高まっている。政府は対策を強化するため、デジタル庁、総務、厚生労働省を中心とする省庁横断の本部を設置する方針だ。
総務庁は20日、マイナカード普及策「マイナポイント第2弾」で、別人へのポイント付与が131自治体で172件あったと発表した。うち2件は自治体が住民に同姓同名の別人のカードを交付。受け取った住民も気付かず、カードを使ってポイントを申請していた。
(共同通信、2023/06/20)
さまざまなエラーやシステムそのものを見直すための本部かと思ったら、「対策を強化する」ことが目的のようでした。
いったん立ち止まるという対応がなかなか取れないことへ、不安がありますね。
「なぜ任意だったものが強制になるのか」
「なぜその後に法律が成立してしまったのか」
「実際に起きている不具合をみると、プライバシーやセキュリティーが守られていないシステムではないか」
やはりまだまだ、自分を証明する最適な方法にはなりえなさそうですし、主権在民でありながら強制されることには納得がいかないことが一番の不信感です。
「丁寧な説明」とおっしゃる政治家の方々からは一緒に国民と考えよう、いったん立ち止まろうという姿勢が微塵も感じられないばかりか、皆さんのきなみ無表情というか、むしろ何かに脅され追い詰められているような自らの政治生命の危険に怯えているかのように見えることも心配ですね。
ヒヤリハットレベルではなく重大なインシデントレベルの問題に見えるニュースの数々ですが、重大事故を起こしている側がその事故調査委員会を兼ねるかのようなこの件は本末転倒ではないかとつじつまのなさを感じました。
*おまけ*
「不具合」の報告件数が急に報告され始めたということは、逆にいえば今までインシデントレポートが活用されていなかったのかもしれませんね
1990年代に医療の中にヒヤリハット報告が導入され始めた当初は報告することにはだいぶ抵抗がありました。少しずつリスクマネージメントの考え方が浸透すると、ヒヤリハットの提出が多い施設はむしろ信頼できるのではないかという見方に変わってきたのではないかと思います。
こうした安全対策に対する意識が浸透した中でも、やはり怖いのが「上司の思いつきで迷走する」とか「思い込み」とか「現場の判断にだけ任せてどうしたらよいか示さない」とか、その事実を見ようとしない人間が一番怖いあたりでしょうか。
政治とリスクマネージメントは相性が悪そうですね。
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