水のあれこれ 344 「谷が鹿の角のように入り組む」

大崎駅から歩き始めた時に、空を見上げたら11月初旬だというのに入道雲が見えました。暑くなりそうと思った通り、東海道新幹線沿いの起伏のある場所を歩いているうちに汗が出てきました。

 

ようやく少し平らな場所になり、湘南新宿ラインの踏切を渡ると今回の散歩の2番目の目的地であるしながわ中央公園がありました。

新幹線の車窓に突如として現れたヘリポートに最初に気づいたのはいつだったか記憶にないのですが、近くを通るのが東急大井町線だったことを頼りに、あとで地図で確認するとどうやらこの公園内のようでした。

 

青山公園に隣接する在日米軍赤坂プレスセンターのヘリポートもそうですが、どんな緊急時に備えるのだろう、周囲はどんな場所なのだろうと気になっていました。

 

*古戸越川の流れていたあたりらしい*

 

「水系と3Dイラストでたどる 東京地形散歩」によると、現在の文庫の森や戸越公園はかつての熊本藩主細川家の戸越屋敷で、その池から古戸越川が流れ、しながわ中央公園のあたりを流れていたようです。

 

地図では平地にしか見えないしながわ中央公園ですが、北側から歩き始めると微妙に坂道になりトラックのある方が高くなっていました。

坂道から少し窪んだような場所にヘリポートがあり、東急大井町線の方へと少し下り坂のようにも見えます。車窓から一瞬で過ぎるよりも、実際にははるかに広い場所でした。

11月でしたが地域の盆踊りがそのヘリポートで開かれていて、その後ろの高架橋に新幹線が通過していくちょっとシュールな風景です。

すごい、新幹線見放題の場所だとしばらく立ち止まりましたが、住民のみなさんは盆踊りに夢中のようでした。

 

新幹線の高架橋を挟んで西側300mほどのところに文庫の森があり、そこが古戸越川の水源だそうで、そこからこのヘリポートのあたりでぐいと北東へと流れを変えて、目黒川右岸の住友不動産の高層ビルがある高台の手前でまた東へと曲がって海へと流れていたようです。

 

 

Wikipedia武蔵野台地は今までも何度も読んだのですが、「東部の舌状台地群と、その上にひろがる都心市街」に書かれていた「谷が鹿の角のように入り組み」が初めて目に入りました。

武蔵野台地は、その成因から、水を通さない海成の粘土質層の上に水を通しやすい礫層が互層しており、この層面から地下水が湧き出し、台地上の中小河川の源流となっていることが多い。台地上に見られる池の多くがこのような成因である。また地名として「清水」を冠していることも多く、さらに、大きな寺社が境内として取り込んだり、名家や武家の庭園になっていた例もある。これらの河川によって武蔵野台地の東部は開析が進んでいて谷が鹿の角のように入り組み、多数の舌状台地から削り出されている。

 

まさにそんな場所にあのヘリポートがあるようです。

 

 

*おまけ*

このWikipediaのわずか数行の記載はなんと正確な表現なのだろう、これを記するのにどれだけの人がそこを歩き観察したのだろうと、ちょっと気が遠くなりました。

いやはや、世の中にはたくさんのすごい先人の記録があるものですね。

 

 

 

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